巨匠の凄みに触れた 1を10に拡散するんじゃなくて、10を1に圧縮する
某プロジェクトで、DaBの八木岡さんにロングインタビューをさせていただきました。
はっきり言って、凄すぎた。桁違いの凄さだった。これは、絶対書き留めておきたい。
八木岡さんが、今回のプロジェクトに対して、やってくださったこと。
1)インタビュー前に、過去のインタビュー記事全員分をご覧くださっていて、今回のインタビューに臨むにあたり「僕の場合はこのような流れで展開をするのはどうだろう」というご提案があった。
2)お話をされながら「ここはこういう表現にしていただいた方が、より正確です」と、逐一、補足を入れてくださる。
3)取材が終わった後、次の日に、ご自身がお話くださった内容の骨子をまとめたラフを送ってくださった。
4)時間切れで詳しくお聞きできなかった部分に関して、後日資料を大量にご用意くださり、詳しくお話を伺うお時間を改めてくださった。
インタビューって、「1」聞いたことを「10」に広げて書くことだって、可能は可能です。すっかすかの記事になります、が。
でも、その人の真髄に触れようとしたら、「10」取材して泣く泣く「9」を捨て、骨格になる「1」を残す。これが一番密度が濃いものになる。それは本来、ライター(編集者)の仕事なんだけど、八木岡さんは、それをご自身でやってくださり、私たちに道を示してくださり、全面にサポートしてくださった。
例えて言うなら、ふわふわのシフォンケーキみたいなものを、一度プレスしてせんべいみたいに薄くして、それを何枚も何枚も重ねてミルフィーユを作るような感じ。その密度のつまり具合、圧縮度合いに鳥肌がたった。
作品に対する準備だって同じじゃないかな。
最初に思いついたデザインで勝負するのもあるけれど、そこから頑張って9思いついて、それでもやっぱり最初の案に戻るのは、最初から1個だけ思いついたまま仕上げるデザインとは圧倒的に完成度が違う。
どんな力の無いライターでも、八木岡さんとお仕事させていただけば、八木岡さんに引っ張られて、引き上げてもらえる。八木岡さんが世に出しているあらゆるもののクオリティが、全て高い理由が、ここにあるのだと分かった。
八木岡さんのように方法だと、スタッフの力量に左右されない。もちろん、素晴らしいスタッフさんと組まれたら、さらにパワーアップするのだろうけれど、万が一スタッフに力が無くても、引き上げてもらえる。常に「八木岡クオリティ」。
私は、とても大事なことを八木岡さんから学んだ。
巨匠ですら、今なおそうされているんです。私たちぺーぺーの人間が、そこをサボってどうする。
背筋を正していこう。