雑誌にしかできないことなんてもうほとんどない。でも、ちょっとだけある。
私がwithのライターを辞めてサンドリヨンという美容サイトの立ち上げに関わると言った時、ほとんどの人が???って顔をした。 ネットの撮影は、お金もらってでもやらない、と言っていたサロンさんが多かったし、実際、ネットの仕事をしていると言うと、お金に困ってるの?と言われるくらいだった。
あれから6年。時代はあっという間に変わって、サロンさんでは、ヘアカタよりもネットの方がよっぽど集客できるし、雑誌に出ることがステイタスだった時代は終わりつつあるんだと言われたりもする。
確かに雑誌(ヘアカタ)では、ヘアスタイルの検索もできない。レングスごとやサロンの地域ごとにソートもできない。そのヘアスタイルを作った美容師さんが作った別のスタイルに即座にアクセスすることもできない。
でも、 ほとんどできないことだらけだけれど、それでもやっぱり、雑誌(ヘアカタ)だからできることもちょっとだけ、ある。
ひとつはある世界観の提示。
たくさんのヘアスタイルは載せられないけれど、その代わり、ある統一感のある世界を提示できるのが雑誌の強み。
ひとつはレイアウト。
ページの並びから、写真の大小。フォントの選び方やサイズ、イラストの使用まで、編集サイドが選んだものが選んだ順番のまま表示できることも、雑誌ならでは。
ひとつは時事性。
一定期間を経たら本屋から消える運命なので、季節感を出しやすいし、旬のスタイルにこだわれる。
そして、最後は保存性。
アーカイブできる、手元に残せるのが、雑誌の魅力。(まあ、これはネットでも可能だけど)。バックナンバーを揃える、ということもできる。
ざっと思いつくところで、この4つくらいかな。逆に言うとネットに対する雑誌のアドバンテージって、たったの4つくらい、とも言えるかもしれない。
さらに言うと、この4つくらいしか強みがないんだから、この4つにこだわれないくらいなら、雑誌にする必要ないかもしれない。 ただヘアスタイルが並んでいるだけのヘアカタだったら、ネットの方がよっぽど便利だって言われてしまうと思うんだ。
ターゲットを明確にして世界観を作り、レイアウトに面白みをもたせ、季節感や旬のデザインをフューチャーし、手元に残しておきたくなるような一冊を目指す。
口で言うのは簡単だけど、実際本気で取り組むのは本当に難しい。
だけど、やるのだ。頑張るのだ。 私はまだ、雑誌の可能性を信じているし、雑誌が好きです。
雑誌にしかできないことなんてもうほとんどない。でも、まだ、ちょっとだけ、あるはずなんだ。