45分おきの予約の理由 byかあこさん その5
【男子禁制女子トーク】かあこさん その5
45分おきの予約の理由
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かあこさんは、本日の営業終了を持って、フリーランスになられました。これからもSOHOのサロンには立たれるそうですが、今後はサロンワークはもちろんのこと、セミナーやヘアメイクのお仕事にもより力を入れていくとのことです。
東京での撮影が多いヘアメイクの仕事。それでもやはり、滋賀にこだわる理由。
それは「お客さまがいるから」
今回は、かあこさんのサロンワークについて、です。
かあこさんのカットって、師匠はどなたになるんですか?
この人、っていう人はないんですよね。気になった人がいたら、そのたびに教えてもらいにいってました。業界誌を見てこのヘアスタイル切りたいって思ったら、その美容師さんに電話するんですよ。それで教えてもらっていました。
例えば大阪のOSHARE DOROBOの島田先生には、電話をさせていただいて、「どうしてもこの切り方がわからへんから教えてほしい」って言って、会いに行きました。その時代やったからかわからないんですけど、親切に教えてくれはったりしました。違うお店でもわざわざ来てくれはって一から切るのを見せてくれはったりとか。
セミナーでも、例えば前髪を可愛く切りはる人やったら、セミナー終わってから「前髪の切り方教えてほしいです!」って頼んで、お店に切りに行ったりとか。気になることはその人に聞くのが一番早いでしょ。
でも人に電話するのって、エネルギーいりません? 私はすごく苦手なんですけれど。
うん、でも、私の場合は「やってみたい!」っていう気持ちの方が勝つんで(笑)。
自分の引き出しが少なくてもっと増やしたいから、本人に聞いてしまいますね。姉のお店にいたときが一番すごかったかもですね(笑)。姉しかいなかったから、姉の技術しか見れない。でももっといろんなところが知りたかった。だからコンテストに出たときとかも、あの人可愛い!って思ったら「それどうやってパーマかけてるんですか?」って聞きに行ったりとかして。
かあこさんご自身は、どなたのカットが好きですか?
特に、Doubleの山下さんと、boyの茂木さんの作品が好き。
昔、どうしてもboyの世界観が見たかって、自分がモデルになったときがあるんですよ。22,23歳のときかな。大阪でモデル募集してはったから、世界感を体で感じたくって、応募しました(笑)。あれはホント、雑誌で見たまんまの不思議な空間やったなあ。自分がその場の空気とか、物になりきる演出やったんですよ。いい意味で、洗脳されてかえってきました(笑)
かあこさんが、サロンワークで大事にしていることって?
目の前の人は、必ず元気になって帰ってもらいたい。これが大前提ですね。
いいスタイルももちろんそうなんですけど、やっぱり気持ち的にリフレッシュしてもらいたいっていうのがあるし、私自身に会いに来てくれてはるんやったら、私が元気をプレゼントしたい。いい時間を作りたいなって。特別な時間を。だから45分おきにお客様を入れて時間もかけるし。東京の美容師さんと比べたら長い方やと思うんですけど、それが一番お客様と自分とがやりやすい時間やから。
お客様とはスタッフ以上にしゃべってますね(笑)。私のプライベートとかも全部知ってるのは仲のいいお客さんやったりとか。
お客さまで多い層は?
一番多いのは、私と同い年くらいの主婦と、迷えるOLさん(笑)。同世代かちょっと下が結構多いかもしれませんね。あと、小学生以下のちびっこ。この間は一日の半分がちびっこでした。
なんでそうなったの?ちびっこの口コミ!?(笑)
口コミもあると思うんですけど(笑)、ママさん同士が「あそこ行ったらおもしろい頭にしてくれんで」って(笑)。
ところで、かあこさんにとっての似合うヘアスタイルっていうのは、どこがポイントなんですか?「 似合わせる想像力はどのように高めていけばいいか」っていう質問がきています。
やっぱり顔周りかなあ。顔周りってその方の魅力が一番出てくると思うんで、時間かけてやりますし。毎回来てはる方でもプラスアルファで、ちょっとした裏切りを出したいんですよ。ちょっとした冒険心っていうか。ふとした仕草を見て、このラインで切っても可愛いわっていうのとかね。
似合わせがうまくいかないと悩んでいる後輩がいたら? かあこさんだったら、何をアドバイスします?
顔周りをもっと見ろって伝えますね。鏡ごしで毛だけを見てるんじゃなくて、ちょっとした仕草からイメージしなよって。鏡と自分だけの仕事じゃなくて、ちょっと遠くから離れたときの仕草を見ないと。人間って止まってないじゃないですか。だから動かはったときの仕草ね。私、すごく髪を動かしながら切ってるんですよ。人から言われたことがあって気づいたんですけど。髪を動かしながら、ふとした表情や仕草に似合うところを探している。
やっぱり、目の前にいるお客さんのヘアをつくってる時が、一番幸せを感じるんですよ。目の前の人の「ありがとう、また来るわ」の一言が、何より一番嬉しいんですよね。当たり前のように、「じゃあまた何ヶ月後に来るわ」って言って帰ってくれること。それはすごく嬉しいなって。帰ってきたくなる場所っていうか、定期的に行きたくなる場所になってくれれば嬉しい。
ヘアメイクやコレクションでは自分自身が世に発信していきますよね。もちろん、それも魅力。でも、私を支えてくれてるのは、長年担当させてもらってるお客さんなんです。この間も話をしたけれど、ヘアメイクは一瞬のクリエイション。サロンワークは長年かけてプロデュースするもの。表現者として、両方の表現があると思っているんですよね。
かあこさんは今日、SOHO所属の美容師として、最後の営業を終えられました。そして、これからは、SOHOでサロンワークもしながら、ヘアメイクとしてもより幅の広い仕事をしていくといいます。
滋賀での生活をやめて上京するという選択をしなかったのは、「また何ヶ月後に来るわ」と当然のように言ってくれるお客さまが多勢いらっしゃるから。SOHOをベースキャンプにしながら、かあこさんの第2ステージは、明日から始まります。
次回は、かあこさんの物語、ひとまず、最終回です。
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