お仕事のご依頼
検索
お仕事のご依頼

一瞬のクリエイション 生涯のプロデュース byかあこさん その4

【男子禁制女子トーク】かあこさん その4

一瞬のクリエイション 生涯のプロデュース

 

【バックナンバー】

その1 おみくじが大吉だったので、フリーになります!

その2 かあこが「かあこ」になった日

その3 5分でいいんです!作品見てください

お待たせしました。ついに、かあこさんのクリエイションの話です。実はこれも、Twitterで質問が多かったです。「かあこさんの作品は、どんなところから発想しているのですか?」ということ。

最近のかあこさんの作品を2枚ご紹介します。

 

ともに 撮影/Munenari maekawa  ヘアメイク/かあこ (クリックすると大きな写真になります)

この2枚は、どんな経緯で撮影された作品ですか?

2枚ともこの1年の間に撮ったものですね。両方ともセミナーさせてもらいながら作りました。最近はフォトシューティングセミナーの依頼をいただくことが増えてきてるので、その中で作ったものです。ただウイッグを持っていってはめ込むだけではなくて、最初からモデルにウイッグはめて、一からカットして質感もつけてその場で作っています。ヘアだけじゃなくてメイクも一から。質感の作り方も見てもらいながらつくってます。

左の写真はシンプルに髪のシルエットにこだわって作りました。肌も光を計算しながら。シンプルなものほど強さが出るし、シンプルだからこそ伝わるものを作りたかったんです。右の写真も、シンプルなんですが、このときはリアルとアンチリアルの融合みたいなことをイメージしながら作りました。

作品を作るときのインスピレーションは、どんなところから得るんですか?

それは、自分でもどんどん変わってきてるんです。最初に作品撮りを始めたころは、まんま雑誌をパクってやるところからのスタートやって。最近はね、言葉のフレーズから。ファッション誌で出てきたフレーズなどが、自分の中にストンって入ってきたら、その言葉からデザインを連想していくっていうのが多いかもしれないですね。

へえ。言葉ですか。面白いですね。ちなみに最近はどんな言葉からデザインを連想したんですか?

最近だと、シュプールやったかなあ。「美しさの衝撃」っていうフレーズを見たときに、「あ、それや!」って思って。

かあこさんがよく読む雑誌ってどんなもの?

ファッション誌はもう手当たり次第。ヴォーグ、ギンザ、シュプールとかも。あと業界誌もひととおり目を通すようにしてますね。

「撮影のイメージにつかう雑誌と撮影機材、カメラやかあこさん必殺、必須な道具を教えていただきたいです」という質問がきてます。

私、カメラに関しては全くわからないです。カメラマンに任せます。

カメラマンさんとはどんなふうに知り合っていったんですか?

最初のころはディーラーさんに紹介してもらいました。その方にずっとやってもらっていて、あとはスタイリストの友だちの紹介でしょ。それから、ブック持ち込んで仕事が一緒になったカメラマンさんと「次回作品撮り一緒にしましょう」ってなったりで、どんどんつながっていって。

カメラマンさんと撮影するときってどういう風に打ち合わせするんですか?

しないことの方が多い。なんとなくの雰囲気だけ伝えて、当日もうちょっとこうしようかな、みたいな感じです。当日にならないとモデルさんのコンディションもわからないし。ばっちり決めていくことってほとんどないですね。現場のとっさの判断力に任せてます。

完全にこの小物が使いたいというときは、それを言いますけど、それ以外は現場かな。現場の空気で作っていきたいって思うんで。だから荷物がすごく多くなるんですけど(笑)。

でも、ロケなのかスタジオなのかくらいは決めておくよね?

それはそうですね。でも実際に会って打ち合わせはほとんどできなかったりするんで、「どうしてもこのイメージがやりたい!」というときはその参考の写真をまんま送っておくということはありますね。「この光で撮りたい」っていうのを伝えたり。

撮影で使うお気に入りのものってありますか?

そのときによって変わるんですけど、メイク道具だったらエアブラシのファンデーション。寄りの撮影とかで使ってます。最近、肌の質感を変えるのが好きなんで、そういうものとオイリーなものとで分けたり。最近はメイクでオファーをもらうことも多いので、メイク道具はファンデーションとかラインナップが増えてきたかな。肌の質にこだわってますね。

自分らしい作品ってどうやって身につけてきたんですか?自分の作品の特徴って何だと思いますか? これもTwitterからの質問です。

私ね、常に自分を裏切っていきたいっていうのがあるんで、そのときによって全然違うと思うんですよ。昔はすごく作り込むのが好きな時期もあったし。今はシンプルに強いものが好き。そうやってどんどん自分が変化していく作風が自分らしいんじゃないかなって。多分ね、自分の心の中が作品に表れる。だからダークなものしか作ってないときもあったし。あれは暗いものしか作れない時期やったんですよ。それが自分の表現、自分が表れてるんやと思います。

私もかあこさんの作品の全部を見ているわけじゃないけど、振り幅が広いのかなって思うんですけど。

そう、振り幅が大きくなりたいんです。「かあこにこれ投げたらどう来るんやろう?」っていう人になっていきたいっていうのが自分の中にあるんで。作り込んだスタイルも、地毛で可愛くもっていくスタイルも、ナチュラルも好きだし。

 

かあこさんの作品は、昔のものから順に見ていくと、一人のひとの作品と思えないくらい、です。誰が飽きなくても、自分が真っ先に、昔の自分に飽きる人なのかもしれない。

できないことをできるようになるまで繰り返すこと、そしてできた瞬間に次はもうその自分を裏切ることを考えている。いつまでも心地よいループの中には浸らない。その裏切りの積み重ねがいまのかあこさんになっているのかなあ、などと思う。

 

 

私が初めてお会いした日って、かあこさん、初めてJHAのノミネートを逃した日でしたよね。よければ、そのとき感じたことを聞いてもいいですか?

JHAは今まで7年連続ノミネートされてて、あの日、初めてダメやって。

その日はみんなの「ノミネートされた!」っていうツイートを見たくないから、Twitterをシャットアウトしてた。誰とも連絡取りたくなかったし。半日くらいずーっと一人でふつふつと考えて。

でもやっぱりマイナスに考えたくないっていうのが根本的にあるから、これをプラスに変えるにはどうしたらいいんやろって。この1年は自分の課題やわって、来年につながる1年やから、今しっかりやろうって頭が切り替わった。

だからまた今、ブックを持ち込みに行ってるんですよ。JHAのあかんかったこの1年は、持ち込みが少なかったんですよね。どっかで仕事もらえるかもしれへんって甘えてた部分を、自分で発見できたし。じゃあもう1回持ち込んでいったろ、もう1回反撃に出たろう、っていうハングリー精神ができたんで、逆によかったって思えるようになった感じですかね。

そうか。私と話をしながら、かあこさんはそんなことを考えていたんだな、あの日。そしてあの日あの瞬間から、既にかあこさんは次の一歩を確実に踏み出していたんだなあ。

でも、そこまで作品撮りというか、ヘアメイクに賭けるかあこさんもいて、一方でサロンワークも人一倍大事にしていますよね。かあこさんにとって、ヘアメイクの仕事と美容師の仕事って、何が一番違うんだろう。

ヘアメイクは一瞬のクリエイション。でも、サロンワークは一人の人に対して何年もかけてするプロデュース。そこが全然違うと思う。だから私にとってはどっちも大事だし、どっちかを選ぶことはできない。どっちも極めたいんです。

これからも、ヘアメイクの仕事だけにしぼろうという気は無いと言い切ったかあこさん。ヘアメイクでは得られない種類の感動が、サロンワークにはあるから、と。

美容師の仕事は、かあこさんにとって「その人の人生をプロデュースすること」。次回はかあこさんのサロンワークについて書きます。

【バックナンバー】

その1 おみくじが大吉だったので、フリーになります!

その2 かあこが「かあこ」になった日

その3 5分でいいんです!作品見てください

タグ