JBCA全国大会2016 レポート 後半
JBCA(日本ビューティーコーディネート協会)の、全国大会。後半戦のレポートです。審査とはまた違った視点の個人的な感想です。
FORTE GINZA<東京>
「人を集める→人が集まるサロンへ」というメッセージとともに、BCさんによるタイムマネジメントチェックと、お客様の要望の洗い出しの発表。
フォルテさんのお話は、あきらかにBCさん主導の取り組みと思われる強さが、評価につながったように感じます。銀座の目のこえた厳しいお客様に対応するための施策は、日本でも最高水準の接客につながるのではないでしょうか。
タイムキープを見直してみたら、時間通りの終っていたお客様が17%だったところから、81%まで時間内施術に終わるようになったとか、5000枚のカルテ を見直して、お客様にとってしてほしいこと24、してほしくないこと42をまとめた話は個人的にも興味深かったです。その24と42、今度教えてください!!
ロングカスタマーの感謝イベントの話は、サロンのファンに一番感謝するという姿勢が明確にあらわれていて、素敵な取り組みだなと感じました。
あと、2つ。志乃ちゃんが静岡時代に538万円も売り上げていたんだということと、GOODエイジングがフォルテさんの商標なんだーってところは、ちょっと違った別の感動がありました。
SNIPS CAOS<新潟>
SNIPS初の出産→復帰を経験した方の話を中心に、出産や介護、その他身体の調子に合わせて働く美容師さんたちを、どのようにサポートしていくかというお話。
今回の13サロンの発表の中で、ある意味、もっともいろんなサロンさんの今後に影響を与える発表じゃないかなと感じました。
前に審査をさせていただいたときにも感じたのですが、SNIPSさんの発表は、切り口が他のサロンさんとはぜんぜん違って、どことも「似ていない」オリジナリティのあるプレゼンになっていると感じます。今回は、審査規定のこともあって、最高得点とはなりませんでしたが、後進の参考になる意義ある発表だったと思います。
何も施策をせずに産休に入ったときは、3ヶ月休んだだけでも半分のお客様を失客したという店長さんの実例をもとに、産休引き継ぎノート、年間引き継ぎノート(写真参照)などを整備して、サロン全体でお客様をサポートしていこうという取り組みが伝えられました。BCさんの存在を、スタッフ側から見てどう感じているかという視点もよかったです。
「ファンベースはスタッフから」というメッセージを強く感じました。
既存顧客はもちろんのこと、スタッフからもロイヤルカスタマー並みに支持されるサロン以外は今後、残れない、と私は思っています。SNIPSさんの「スタッフファースト」の考え方は多くのサロンさんにとって指針になるように感じます。
mod´s hair<福井>
サロンの取り組みをテーマパークになぞらえること、キャッチーな言葉で置き換えて、スタッフさんの行動指針を明確にすることなど、とても参考になりました。
店販の呼び方をビューテイサポートアイテム(でしたっけ?ごめんなさい、メモし忘れました)に変えて、「モノを売るのではなく、美に必要なアイテムをおすすめする」と価値変換したとの発表でしたが、実はこのような「意識変え」は本当に大事で、普段使っているネーミングを変えることで、意識の変化につながったという話はよく聞きます。たかがネーミングですが、ネーミングが変わるということは、目的が変わるということ。mod´s hairさんのプレゼンでも改めて、それを強く感じました。
新人教育をBCさんが担当していて、社会人としての一般常識をつけてもらうというのが印象的で。たしかにお客様に一番近いBCさんが最初の教育に入ることは、お客様目線から考えてもありがたいことだなあと感じます。スタッフさんに三連休を推奨していることや、BCさんを含めた生産性が907,000円! というところも、素晴らしいと感じました。
mod´s hairさんは、BCさんの声と話し方がとても聞きやすかったです。こういう話し方でお客様に接してらっしゃるんだろうな、きっとみんな安心感を持つだろうなあと感じました。
HAIR MAKE GRACE vivi店<愛媛>
創業50周年の老舗サロンさん。愛媛という地域特性を鑑みると100万円プレイヤーが限界と思われやすいけれど、この地で500万プレイヤーを出そう。それが後進の励みにもなると、BCさんを中心にロイヤルカスタマーを増やすことを目指したというプレゼン。
お客様の志向をより詳しく確認するヒアリングシートの徹底分析で、その人それぞれに「美容表」を作っていったという話が興味深かったです。515万円プレイヤーが生まれたという話は、地域で奮闘するスタイリストさん、BCさんにとってきっと励みになったのではないでしょうか。
個人的には、取り組みについてもう少し具体的な発表があったら良かったかもと思いました。そこで生まれている会話の詳細などを知りたかったです。
CAN:PUS<静岡>
SNIPSさんと並んで、プレゼンの内容のオリジナリティが際立っていたのが、こちらのキャンパスさん。中野さんは、SARAの河野さんとともに、全国のBCさんの憧れの存在でもあると思います。
以前、別の場所でもプレゼンをお伺いしたことがあるのですが、中野さんの存在感というのは、ちょっと頭一つ抜けているというか、BCさんからマネージャーの域に到達しているので、いま現場でバリバリ活動しているBCさんたちの、次のステージのロールモデルといえる存在じゃないでしょうか。
平均年齢が25.5歳のスタッフを、どう大人女性に対応できるスタッフに育てていくか。ファーストカウンセリングを中心に、BCさんがサポートをしながら、若手を育てていくお話にぐっときました。「1人のBCさんがサロン全体を変える」ことを目の当たりにできたプレゼンで、多くのBCさんにとって、目標にできるお話だったように感じます。
スタッフさんのプレゼンで、「あなたみたいな若い子に可愛いなんて言われたくない」とお客様に言われたという話がありましたが、まさにこれが、平均年齢25歳のサロンと大人女性のお客様の間に生まれているギャップ。これを埋めていけるかどうかにも、BCさんの存在がカギになってくるということがわかる発表でした。
そう考えると、BCさんて、年齢を重ねるほど楽しい仕事かもしれないですね。
プレゼンの中ででてきた「美容師が知っておきたい50の数字」の「大人女性を知る」の項目は(読んでくださりありがとうございます)、BCさんたちにとって、バイブルになるかもです。女性モードさんから出ています。
RISA hair design<福岡>
激戦区の九州エリアを勝ち抜いたサロンさんらしく、とても聞きやすくわかりやすいプレゼンでした。まだ新しいサロンですが、急激に成長していく過程では、スタッフの初の離脱、オープン当初からの顧客の失客といった「成長のきしみ」のようなものが生まれがちです。
これから大きくなっていこうとするサロンさんでよく起こるであろうこの成長時のきしみを乗り越えられずにクローズしていったサロンさんをいくつも知っているので、RISAさんのお話は、とても興味深く聞かせていただきました。
「前より雑になったというか、適当になった気がする」というお客様から言われた一言ではっとしたということでしたが、こういうお客様の厳しいひと言は、本当にありがたいですよね。それを言ってもらえるサロンであったことも、きっとV字回復の理由だったのではないでしょうか。
「従業員満足=顧客満足」と定義されていましたが、なぜそう思うのか、その説明がもう少し丁寧でもよかったかもと感じます。たしかに従業員満足は顧客満足につながると言われますが、その解釈は会社の数だけあるように思います。RISAさんにとって「従業員満足=顧客満足」が成立する理由というのを、聞きたかったなあと思いました。
Rendez-Vous 本店<島根>
手元に配られた資料によると、新規再来率70%、既存再来率94%という脅威の数字! プレゼンの前から、期待値が高いサロンさんでした。
内容はとても盛りだくさんだったように思います。イベント集客や、POPの充実、カウンセリングのテスト本を作ったり、時間管理を徹底したりと、ただ概念を話すだけではなく、「実際に手を動かしてる感」が半端なかったように感じました。
言うのは簡単だと思いますが、このような取り組みをずっと続けていくのは、本当に体力と根性と、揺るぎない信念が必要だと感じます。「取り組みの密度」を最も感じたサロンさんでした。
また、スタッフさんたちの個性的な、でも、統一感のあるファッションもすてきで、地域の人たちも、こんなオシャレなスタッフさんがいるサロンにいきたいだろうなあと思いました。懇親会でもお話させていただきましたが、とても気持ちのよい皆さんでした。
プレゼンのなかで若いスタッフさんが「やるべきことが明確になったら、仕事が楽しくなった」とおっしゃっていましたが、JBCAの取り組みの真髄は、この言葉に集約されているように思います。できることが増えたら仕事は楽しくなるんですよね。楽しく提案したことは、お客様も幸せにしてくれます。その循環が、きっとモチベーションの持続や生産性の向上につながっていくのではないでしょうか。
懇親会でミルボンの佐藤社長が
「1〜2年めはBCさんが何をしている人たちなのかを知ってもらう場だった。3年めからこの5年めまではBCさんの取り組みがサロンをどう変えるのかという場に成長した」とおっしゃっていましたが、まさにそのとおりで、では6年め以降、BCさんの存在が、どう業界を変えていくのか、とても楽しみですし心から応援しています。
石井さんのご挨拶をきくと、年末の足音が聞こえますね。グランドハイアットの方のお話が印象的でした。美容業界は、一致団結して新しい文化を作っていくことに長けていると感じます。この取り組みがもっともっと、お客様と美容師さんの架け橋となって、美容の起爆剤になりますように。
JBCAのみなさま、このたびは、お声かけくださいましてありがとうございました。