アシスタントさんだからできること、アシスタントさんにしかできないこと
先日ちょっと、感動するサービスを受けました。
地元のカジュアルなレストランでのことです。
そのお店に行くのは4回め。
1ヶ月前にいったとき、2000円でワイン(その日によって提供されるワインが違うけれど5種類から選べる)が90分飲み放題メニューがあると知って、それを利用したら、これもまたすごくよかったので、また行くことにしました。
そのとき「今日も飲み放題で、白でお願いします」といったら、
若い店員の男の子が、「この間はリースリングを飲んで、すごく美味しいっ言ってらしたんですけれど、今日も、そうされますか? でも、今日のリースリングは前回お飲みになったものより、少し華やかで重いタイプなんですよね。きりっとしたものがお好きだったら、別の種類をおすすめしますが」と、言うんですよ。
繰り返しますが、私、そのお店にいったのは、その日が4回め。
1回め→ワインをグラスでチョイスして2杯飲んだ(その店員さん、いなかった気がする)
2回め→同じく、ワインをグラスでチョイスして3杯飲んだ
3回め→飲み放題で2種類のワインを4杯飲んだ
私は、ワインが好きだけれど、銘柄とかぶどうの品種とか一切覚えられないから、いつも適当にオーダーするんですが、彼、その3回で私が飲んだワインを、ほとんど覚えていて、
「今まで飲んだワインの中でお客様が『美味しい』って言っていたの、冷涼地の白ワインが多いんですよね」って言うんですよね。
高級フランス店とかじゃないですよ。地元の居酒屋、って感じの気楽なお店です。ソムリエがいるようなお店じゃないです。店員の男の子の口調もすごくフレンドリーで、「今日のおすすめパスタって何?」って聞くと「あ、忘れちゃいました。シェフに聞いてきます」って言う感じの、かしこまった感じのお店じゃないわけです。「ワイン、美味しいよ」というと「まじっすか、やった、嬉しいです」みたいな、カジュアルな受け答えのお店なんです。
しかも、常連ってわけじゃない。この半年で4回め。なのに、この接客、すごいなって思いました。
結局この日は、彼のオススメ
・佐藤さん好きなリースリングだけど多分これは好みが違うと思うんですよね→(イマイチだった×1杯)
・シャルドネだけど多分好みに合うと思います→(美味しかった×1杯)
・いま、たまたまボトル空いたんで飲み放題におろします。絶対好きなタイプだと思います→(超絶美味しかった×2杯)
を飲んで幸せな気分で帰りました。
まだ、20代そこそこの店員さんだと思うんだけれど、多分、彼がいるだけで、ずいぶんお店の売上やリピート違うだろうな、って思いました。
ひるがえって、ヘアサロンのお話。
私はよくセミナーで、「大人の女性と会話するのが苦手なアシスタントさんは、雑談(たとえば、お休みの日に何をしてるんですか?)なんかしなくていいから、ずっと髪の話(たとえばスタイリング方法、ケア方法、髪の豆知識)だけを話していればいいんじゃないかな?」という話をします。
先日も、「お客様が美容師さんに相談しにくいこと」というブログをアップしたら、around40の女性たちから、ずいぶん共感のメッセージをもらいました。
雑談をしたり、雑誌をわたして暇つぶししてもらうことをやめて、
髪の話をして、髪についての悩みや希望を聞いたり、髪について知ってもらう時間にすれば、それは、次の提案や、ヘアデザインに活かされるから、
それこそ、アシスタントさんしかできない「生産性」はここにあるんじゃないかなあと思います。
美容業界で調査したMOT(moment of truth=真実の瞬間)サイクルでは、お客様のリピート理由のうち、約半分が技術者(スタイリスト)の技術によるもの、約半分がそれ以外の接客やサロンの状態(お掃除がきれいかどうか、受付が明確かなど)で決まるというデータがあります。
つまり、リピート理由の約半分は、スタイリストさん以外が握っているわけです。
もっと積極的に、お客様とプロの会話をしにいってもいいんじゃないかな、そう思います。