「女優再生サロン」を知っていますか?
ファッション誌のオーディションや顔見せに合格し、新しくジョインしてくる新人モデルさんは、たいてい、誌面デビューする前に「この美容院で髪を変えてきて」と言われます。
赤文字と言われるファッション誌を毎月担当していたとき、私たちヘア担当はヘアページの企画をするだけではなく、新しく参加してくる新人のモデルさんたちに、どの美容院に行ってもらい、どんな髪型にするのがいいのかのアイデアプランを出していました。
「そうか、モデルとはいえ、大事なのは、まず髪なんだなあ」と思ったことを鮮烈に覚えています。
実際にマネージャーさんと同行して、美容院でのカウンセリングやヘアチェンジに立ち会ったりもしました。
赤文字雑誌系のモデルさんは、編集部からロングヘアキープをお願いされる場合も多かったのですが、同じロングヘアでも、どれくらい毛先を軽くするか、それから前髪をどれくらいの長さにするかを変えるだけで、ずいぶん垢抜けた印象になるんですよね。
新人モデルさんだけじゃなくて、ちょっとマンネリしてきたモデルさんには、誌面でばっさりカットしてイメージチェンジする企画もよく作りました。
多かったのは、コンサバなイメージが定着したモデルさんを鎖骨下5センチくらいにカットして、カジュアルさをプラスするようなイメージチェンジ。
髪を切ると似合う服が全然変わってくるので、「ただ髪を切っただけのイメチェン」ではなく、「その髪で着こなせる服の幅も変わるイメチェン」になり、二重の効果でイメチェンできるものでした。
逆に、ボーイッシュなイメージだったショートのモデルさんを、少しずつ上手に伸ばすのを美容師さんにお手伝いいただき、女性らしい色気を加えてもらっていったり。
「そろそろ卒業どきかなあ」というモデルさんが、ヘアチェンジしたことでまた再ブレイクするシーンもよく見てきました。
やっぱり髪って、ほんと重要だなって、そのときも思ったものです。
モデルや女優さんを別人級に生まれ変わらせてくれ、再ブレイクさせてくれる場所として、私たちが最大のリスペクトをこめて「女優再生工場」と呼んでいたサロンがあります。
このへんと、このへんのサロンのあの方です。
美容師のみなさんは、一瞬でピンとくると思います(笑)
女優さんのイメチェンといえば、私がまっさきに思い出すのが長澤まさみさん。
清純派のイメージが強くお嬢様的な役柄が多かった長澤さんが、モテキの役をもらったときに、鎖骨までカットして、大胆にイメージチェンジしたときは話題になりました。
奔放でセクシーな役柄を見事に演じ、その後、新境地を開拓。カンヌのレッドカーペットを歩く女優さんにまでなられたのも、やっぱりあのときのあの髪でのイメージチェンジがあってこそ、と思います。
素敵な髪は、女性を新しいステージに連れて行ってくれるなあ、って思うんです。女優さんやモデルさんだけじゃなくて、私たちも。
んでは、また。