あれから4年がたちます。自分ができることって何だろう。「社会のために働く」(藤沢烈さん)の発行に際して
3.11から、まもなく4年が経とうとしています。
あの日、みなさんはどこで何をされていましたか。
私は、お腹の子がまだ7ヶ月なのにおりてきてしまい、切迫早産で入院していたのですが、容体が安定したので「絶対に外を出歩かないこと」を約束して退院させてもらったところでした。
東北が大変になっていると知ったのは、揺れてからだいぶたってからのことでした。東京にいる美容師さんたちからは、ひっきりなしに連絡がきました。
「チャリティカットをしようと思う」「ボランティアで東北に入ろうと思う」「ハサミを集めて送ろうと思う」……etc.
「ごめんなさい、いま、安静中で動けないんです」「動けるようになったら、絶対に参加するから」と、何度言っただろう。寝ているだけしかない自分がすごく悔しく、こんな大事な局面で何もお手伝いできないことがとても悲しかった。
いつか、自分の身体が動くようになったら、東北に行く。自分ができることをする、あのときそう強く思ったまま。
出産を終え、産褥期を超え、子どもの首がすわり、やっと落ち着き、何かできることはないか、そう思うものの、がれきは既に撤去され、そのときには、どのタイミングでどのような形で、自分が関わっていいのかわからないまま
気づけば、1年がたち、2年がたってしまいました。
話は変わります。でも、つながってます。
私の18歳のときからの大切な友人に、藤沢烈という人がいます。この20年、ときには仕事を一緒したり、助けてもらったり助けたり、そんな仲間です。
昨日の朝日新聞にロングインタビューが掲載されていました。
彼は、震災後、自分がやっていたコンサルティング会社を方向転換し、以来ずっと、東北の復興に関わってきていました。復興支援コーディネーター集団と名付けられた彼のオフィスは、最初数人しかいなかったのに、お邪魔するたび大所帯になっていき、今では60人を超える組織になっています。
いったい、どうやって毎日のご飯を食べているんだろう。私たち、友人はいつも彼の組織がどんどん大きくなっていくことを不思議に思っていました。
そして、あるとき、聞いたんですよね。震災から3年たっていました。「ねえねえ、復興支援って、毎日、何をしているの?」って。
そのとき、彼に聞いた話は、衝撃でした。
彼はいま、東北に、いろんな企業が集まり、復興支援を通じて日本が抱えるあらゆる課題、例えば、高齢化や過疎化、第一次産業の衰退、情報格差などを解決しようとしていることを教えてくれました。
グーグルにヤフー、キリンにUBS、ヤマト運輸、積水ハウス……、そうそうたる企業が、「自分たちの本業を通して社会のために何ができるか」を考えていると教えてくれました。
そして、その企業の方々とパートナーシップを結んだ、東北の事業者の方たちが、今までになかった新しい取り組みにどんどんチャレンジされているのだそうです。
彼に導かれるように行った先々の東北には、これからの日本を考え、集う人たちがたくさんいました。
東北は、震災前から、高齢化や過疎化、第一次産業の停滞など、多くの課題を抱えていました。
烈は、いま東北の課題を解決する方法を見つけることは、その後必ずや、日本中の地域の課題を解決することになるし、それは、世界中の先進国が今後直面する課題を解決する道しるべになるはずだと熱っぽく語ってくれました。
そして、いま、東北に集まっているメンバーは、みんなそのことを信じて働いている。東北には、未来のビジネスとリーダーが集まっているというのです。
例えば、コミュニティつきの住宅、
例えば、見守りもしてくれる宅配便、
例えば、高齢者でも安心して使える新しい交通手段
例えば、東京にいながらにして東北を支援できるシステムづくり。
東北では、震災を期に、次々と、そのような仕組みが生まれているのだそうです。
彼は、企業と行政をつないだり、行政と住民の人たちをつないだり、そのような立場で、被災地31市町に関わっているそうです。
その話を聞いた夜、私はちょっと熱が出ました。
興奮したり、感動したりすると知恵熱が出るタイプなのです。
この話を、もっとたくさんの人に知ってもらいたいと思いました。
それから10ヶ月。
そんな彼の本が、形になりました。3月11日に書店に並びます。
私も企画構成として、ご一緒させていただきました。
書籍の中では、小泉進次郎氏と、須田女川町長との鼎談も収録されています。
東北で生まれた知見が、日本全国の地方創生にどう広がっていくか、みっちりお話くださいました。
3.11からの社会のために、何ができるか。
自分の「本業」を通して、社会のために何ができるか。
私も、この1年間、ずっと考えてきました。
心から信頼する友人の書籍に関われたこと、それから、震災直後は何もできなかったけれど、自分の本業を通じて復興に命を捧げている人たちの話を紹介できたことは、私にとっても大きなターニングポイントになったと思います。
「社会のために働く。未来の仕事とリーダーが生まれる現場」。
震災から4年目の3月11日に発売になります。よかったら、ぜひ手にとってくださいませ。
amazonでも予約できます。