大きな声で叫ぶのではなく、耳をすませて聞くこと《さとなおリレー塾・第4回》
さとなおさんのリレー塾、4回目の今日から、スピーカーがさとなおさんじゃなくて、広告業界で活躍されているいろんな方々のお話です。
だけど、さとなおさんの講義の流れを汲んでお話くださるという、受講者のハートと脳みそに優しい塾です。
今日は、電通の廣田周作さんのお話でした。
廣田さんの著作はこちら。
「SHARED VISION」
サブタイトルは、「相手を大切にすることからはじめるコミュニケーション」
私がこのリレー塾に通っているのは、
これからの美容業界において「サロンとお客さま」のつながり方にはどんな可能性があるか? ということを考えたいことと
・例えば年間3回しか通わないサロンから毎日お客様に情報発信することはどうなのか? とか
・例えばサロンという場所を、髪を切る場所から、本来の意味のサロンにするのにはどうすれば良いかとか
あらゆる情報が溢れる時代において、私たちが作る誌面やサイトは、どうあれば読者に喜ばれるのか?
・春のトレンドヘアチェックとか、どこをどうしたら需要が生まれるのか? とか
・デザインじゃなくて、ケアや思想をどう誌面に落としていくのか? とか
・媒体がone to oneのビジネスモデルを作れるとしたら、どんな可能性があるのか とか
・出版社の(もしくは、ライターとしての私の)CSV って、メディアにおいてはどう実現できるか とか
ということを考えたいからなんだけれど
ここまで参加していて一番強く感じるのは、いま、広告の先端をいっている人たちが考えていることって、
圧倒的に(使っているメディアはデジタルでも)「人間的」な感情のやりとりに注目していて、
圧倒的に「顧客ファースト」の考え方に立脚していて、
つまり圧倒的に「みんなが幸せになってほしい」ということをKPIに持っている(ときには、それをKPIにするために企業と闘っている)ということ。
広告って、私が思っているより、ずっとずっとらぶっとしていて、「愛だよ、愛」って感じなんだなって驚く、今日このごろです。
テレビ時代にも雑誌時代にも広告代理店の方とご一緒させていただく機会はあったけれど、
1)私があまりに末端メンバーすぎて、広告代理店の方の本音を聞ける立ち位置にいなかったから
もしくは
2)おなじ広告代理店の方でも、いろんな考え方の人がいて、私が担当した番組や雑誌にはそういう人がいなかったから
もしくは
3)時代が「顧客との真摯な関係性を作る」ことを求められていなかった時代だったから
のどれかによって、
私は、広告に携わる人たちが、こんなにも真摯にお客さまやファンの人たちと向き合おうとしていることを、今まで知らずにいたんだけど
これからは
・ファンであるお客さまたちと、より深く、つながり、より喜んでもらうこと
・発信者とそれを受け取る人、と考えず、一緒に作っていくこと
・発信者側の人間(つまり企業側の人間)がいっぱい笑って、楽しんで、その商品のファンじゃなければ、そもそも無理ってこと
が、よおおおおおく、わかった。
もう、企業の理念は、全部透けて見えちゃう時代だし、小手先のあれやこれやで人は動かない時代なんだよね。
さとなおさんと廣田さんが共通しておっしゃっていることは、顧客の気持ちに「耳をすませる」ことだなあ、と感じます。
それを、廣田さんはご著書の中で、What to sayではなく How to listen のセンスが必要と書かれていますが、
まさにこれからは、大声で叫ぶことよりも、耳をすませて聞くこと、そしてどうやってお客さまの声を聞くことができるかを探すことが、重要なんだなと思いました。
まさに、神は口をひとつ、耳を2つ作りたもうた。 我々は耳は二つ持っているのに、口は一つしか持たないのは、より多くのことを聞いて、話す方はより少なくするためなのだ____よな、とか、ね。
今日のお話の骨子は
1)広告主役の時代からコミュニケーション主役の時代になっている
★一方的に「伝える側」「伝えてもらう側」ではなく、ともに創る時代に
→SAHRED VISIONの書籍にも紹介されている、地方局が視聴者とともに創る「場」の話が、ぐっときました。
→書籍にも書かれていた「会話を促す問いかけ力」がすごく重要だなあと、思った。一方的発信ではなく、会話が生まれるような投稿の方法、もちょっと考えよう。
さとゆみ感想: 雑誌の世界でも、「地域紙」が注目されている。テレビもで、「地方局」だから、できることがあると、書籍に書かれているのが、すごく印象的だった。これ、これからの地域密着サロンを考える上で、いろいろヒントになりそう。
2)リアルタイムマーケティングの時代に
★時期を逃さず発信することの重要性。
→スーパーボール2013年のオレオのTwitterの例。
さとゆみ感想:今日、やたらとTwitterに「無印やべー」「無印、マジ、いってる」というtweetが流れてきたんだけれど、これもまさにそうだよね。恵方巻きとドラゲナイ。
(塾の帰りに丸山酒場で恵方巻きいただきました)
3)広告は「つながり」をデザインする時代に
→廣田さんのお話を聞いていて思ったのは、コミュニケーションデザインのプランナーって、「すっごく、気の長い仕事だなあ」ということ。それは「伝える」だけで、ハイおしまい、じゃなくて「つながり」をデザインしていく必要があるからなんだなあ、と。そう思った。
→例えば、企業の「ビジョン」から考え直す作業に立ちあうこと。企業のビジョンは企業の人たちが自ら作るしかないから、ティーチングじゃなくて、コーチングが必要だろうと思う。
→そう考えると、プランナーさんの仕事って、すごく魅力的だと思うし、同時に、すごく多様な能力が必要とされる職業だなあと思ったよ。
全体を通した感想
★広告って、一周回って、すごく血のかよったものになってるんだなー。
世界は、広く大きくなっているようで、実は、とても個人的に、とても人間的になっている。
★最近、「アクセス数じゃないんです」「拡散力が大事なんじゃないです」「誰に届くかなんです」と言われて記事の執筆を頼まれることが多い。それ、いまいちピンときてなかったんだけど、ああ、これ、そういうことかって思いました。
★具体的な事例はもちろんとてもわかりやすかったのだけれど、そこから導き出された廣田さんの「抽象化された思想」が、すごく勉強になりました。
★ お客さまに届けるためには、口を開くよりまず、お客さまの言葉に耳を傾ける。お客さまに愛してもらうためにはまず、社員が、その企業の一番のファンになれる環境をつくる。大事。
★廣田さんの書籍の装丁がすてき。メガネ、おしゃれ。(でも、ご本人メガネかけてらっしゃるのかと思ったら、違った)久しぶりに、カバーを外さずに読みました。手に触れているカバーの手触りも気持ちよかった。本文のフォントも心地よかったです。
廣田さん、さとなおさん、ありがとうございました。
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