「どんな場所」なら待ち伏せして広告を見てもらえるのか《さとなおリレー塾・第2回》
前回の、99.996%の広告(情報)はもう「伝わらない」時代。《さとなおリレー塾・第1回》に関して、主に美容業界と出版業界の方からメッセージをいくつもいただきました。読んでくださり、ありがとうございます。
あれから1週間、打ち合わせでも、撮影現場でも、さとなおさんの塾の話になり、「ああ、今、みんなが悩んでいること(私も!)」への根本的リーチって、ここにあったんだなあって感じた1週間でした。
で、第2回目です。
頭クリアにするために、撮影のあと、一度家に帰って1時間半お昼寝して、準備万端でのぞみました。
あのね。
一気に難しくなった!!!
と、一瞬思った。
ほら私、広告ど素人だから。瞬きもせず、ガン見でダンボで聞いていたけれど、ときどき追いつかなかった。
でも、そんな中でも、素人なりに受容したことを書きました。広告素人のみなさん、一緒に勉強しよう!!
「大人の学びはインプットではなく、アウトプットです」とおっしゃっていたのは、某出版社の局長さんでした。ので。 美容師の皆さん、読んでわかりにくいところは、連絡ください! 直接お話します。話せば、私も理解が足りてないところ、もっとわかるかも。
んでは、いってみます。まあ、聞いてください。
1) 情報が伝わる場所(プラットフォーム)は3つあって、「A・お茶の間プラットフォーム」「B・トライブ(部族)プラットフォーム」「C・ソーシャルグラフプラットフォーム」の3つ。それぞれのプラットフォームでは、広告の伝わり方が全然違う
★かつての「A・お茶の間プラットフォーム」はほぼ消滅。
→家族(老若男女)で共有するお茶の間(主にTVか新聞)に届ければ、家族全員が見て、翌日以降それぞれの家族の友人・仕事仲間などに伝わる
→伝えた先での友人や仕事仲間の感想は、家族(お茶の間)にフィードバックされる
→なので、ざっくり大勢に伝わる
→今はテレビもリビング(お茶の間)もあるけれど、家族で一緒のメディアを同時に見ることはない
→唯一の例外は新聞・時間差で家族全員が見る可能性あり。新聞メディアは伝えたい相手によってはまだ可能性あるかも?
★「B・トライブ(部族)プラットフォーム」は2005年くらいから増えた。「広告冬の時代」と重なる
→ママ友トライブ、職場トライブ、サッカートライブ、アニメトライブ、映画トライブ……など。
→個々のトライブ(部族)は独立していて、トライブ間の交わりはない。
→広告は、そのトライブが集まる場所(コンタクトポイント)を狙い撃ちするしかない
★「C・ソーシャルグラフプラットフォーム」は2010年くらいから突如現れたプラットフォーム。
→SNSの浸透で「個人」を媒介としてBのトライブ同士に交わりができた。(例えば映画トライブの話題が、ママ友トライブに伝播するなど →ソーシャルグラフとは、トライブの連鎖である
→このプラットフォームの出現で、再びお茶の間時代並みに情報が無差別に伝わるようになった
※さとゆみ感想:トライブという言葉は初めて聞いた。ヲタの人たちが言う「アニメクラスタ」とか「ももクロクラスタ」とかの「クラスタ」と近い使われ方かなあ。どうだろ。
※さとゆみ感想:人気アイドルを使ったCMは、人口に膾炙しようとしているのではなくて(マスを狙っているのではなくて)、むしろ「特定トライブに働きかけている」と分析いたほうが良いというお話が面白かった。 ということは、今後CMから最初に消えていくのは(需要がなくなるのは)「コアなファンはいないけれど、好感度の高い(マスに嫌われない)タレント」じゃないかって思ったけれど、どうだろう。
2) それぞれのプラットフォームに、存在している人たちのタイプは違う。
★「A・お茶の間プラットフォーム」 にはレイトマジョリティー・ブルーカラー・マイルドヤンキー・都会のラガード、情報砂の一粒時代前の人種
★「B・トライブ(部族)プラットフォーム」には組織・地域・趣味仲間・マニアなどの軸でつながる人たち
★「C・ソーシャルグラフプラットフォーム」にはBの中でもSNSを使いこなし、自ら情報発信する人たち。アーリーアダプター、都市型ワーカー、ホワイトカラー、クリエイティブクラスなど、情報砂の一粒時代の人種
※さとゆみ感想:現在の人々の基本ベースはB。そのトライブを中心として、半径5メートル以内の関係性でことたりるのがA、顔を合わせていない人ともソーシャルメディアでつながるのがCという理解でいいんだろうか?
3)情報砂一時代前の人たちに響くマス広告の極意は3つ
★マス広告に重要なのはシンプル(言いたいことをひとつに絞る)、相手への思いやり(おじいちゃんが欲しいものは僕が欲しいものと違う)、インパクトの3つ
→シンプル広告の事例:ブラビアのスーパーボールCM
→シンプルについての名言:「記憶に残る幕内弁当は無い」(秋元康史さん)
→思いやりについての参考書籍:谷山雅計さん広告コピーってこう書くんだ!読本
→インパクトについての参考書籍:高橋卓馬さん表現の技術―グッとくる映像にはルールがある
★マス広告は、基本的に待ち伏せをして、邪魔をして頭に入り込むもの
★声がでかく、びっくりさせるものほど効果的
4)情報砂一時代の人たちに「直接リーチ」する極意
★普通にやると、99.996パーセント伝わらない
→ターゲットはF1とか、アバウトすぎ
★だから、商品を知らない人じゃなくて、ファン(すでにファンの人・ファンいなりそうな人)に向かってまず伝える(ファンベース)のが基本。
→既にファンの人に再び広告費を払うなんて、という考え方はナンセンス
★直接リーチは、「伝えたい人が誰か」を絞り込むのがめっちゃ重要
★誰に伝えるかを決定して、丁寧に情報を「当てて」いく
→伝えたい人たちの中でもさらに、予算と効果を考えてどのトライブの人を狙うかを決めて、その人たちが通る道に待ち伏せする
→リアルにその人たちの行動動線を考えて待ち伏せする。ラブレター渡すときの論理!
→定性調査(インタビューなど)→気づき・仮説→定量調査(大勢へのアンケートなど)の順で伝えたい人の心理を知る
★直接リーチが届きやすいトライブと届きにくいトライブがある
→外に出ない人などは、直接リーチ難しい
→切実度が高いトライブほど届きやすい(幼児の病気に対するママなど)
★意外とメディアクリエーション(つまり広告する場所自体を生み出しちゃう方法)が効く!
→メディアクリエーションの例:寒い冬のマンホールに書くリアルなコーヒーの絵、ナイキのバスケットゴール的ゴミ箱、駐車場の壁に描かれたハロゲンライトのこげ跡、サロンにつながるエスカレーターに描かれたヘア写真等
★例外:拡散を目指して広告する必要がない商品(サービス)もある
→かつらや、美容整形など、人に言いにくい商品&サービスは拡散はのぞめないが先方からアプローチしてくれる可能性がある市場
→ただし、奥さんからのアプローチ、親友からのアプローチは見逃せない
さとゆみ感想:美容室って、相当強いメディアになりえる。だって、ある程度その場所に好感を持っている女性を1時間拘束できるメディアって、このご時世、ほとんどないと思うから。美容師さん自体もメディアになる。石さんが言っていた、顧客に車や家を売る美容室の話につながる。
全体を通した感想
★既存メディア発送からの脱却、露出数で競うことからの脱却という話がくりかえされていたんだけれど、これ、頭で「うんうん」って思うのと、実際プランを立てるときに意識できるかどうかは、全然違うんだろうって思う。
★ (お茶の間消滅時代の)マス広告とファンベース広告の一番の違いって、「広告が回遊するかどうか」の違いなんだってわかった。つまり、人の話題になって、何度も行ったり来たりするかどうかってこと。SNSは、広告に「回遊現象」を取り戻したんだろうな、多分。
★さとなおさんのパッチワーク的シャツが、前回、今回とすごく可愛くて、欲しい。どこのだろう?
★書いてみてわかったけれど、単語は初めてきく単語ばかりなので、一瞬難しいと思ったけれど、内容はそこまで難しくなかった。
。
★広告っておいらには関係ないって思いがちだけど、それが、伝えたい人に伝えたいことを伝える方法を知ることであれば、私は超絶知りたい。
★子どもが目覚めたらすぐ、寝室のレイアウトを変えます
来週も落ちこぼれないように頑張ります。
現場からは以上です。
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