写真勝ちという罠
最近、雑誌では、ヘアスタイルを
カタログちっくなバストアップではなく
オシャレに撮るというのが流行っているけれど
これには実は、すごく怖~い罠がある。
写真がオシャレだから、一見、髪型もオシャレに見えたりするんだけれど
よくよくヘアだけに注目して見てみたら、
実は髪型としてのデザインはまったく成立しておらず(髪型だけを見たら変だったということ)
雰囲気で可愛く見えていただけだということが、よくあるなあということ。
オシャレな雰囲気撮影に慣れちゃうと、
いわゆる証明写真のような、「That's ヘアカタ」という撮り方をしたときに
全然、ヘアスタイルが作れないということがありえます。それから
最近、自分でカメラを勉強していらっしゃる美容師さんが多いのですが
そうすると、自分自身でどこが写真映えするかをわかっているので
好きな角度(可愛く見える角度)からしか撮影しない人が多いみたいなのですよね。
例えば、トップを切って撮影したり、
影をつけて撮影したり。
それはもちろん、それで全然いいのですが
いざ、雑誌の撮影で、本職のカメラマンさんが撮影したら、
今まで自分では撮影していなかった角度から撮影されたりして
そうすると、全然髪型として成立していなかったことが初めてわかる、
というようなことがあったりします。
先日
「オシャレなヘア写真を自分自身でよく撮る人ほど、
撮影時のフィニッシュワークが甘くなっている気がする」
と、ある美容師さんがおっしゃっていました。
うーん。
もちろん、全員が全員ではないですが
確かに、そんな可能性もあるかなあと思います。
実は、フィニッシュワークの技術が一番難しいのは
withやMOREのような、正面から真っ向勝負で撮影する雑誌だと、
私は思っています。
withやMOREで可愛いスタイルを作れる人は、
どこから撮られても100%成立する
バランスのいいスタイルを作ってらっしゃる方ばかりです。
逆にモードな雰囲気の写真を撮る場合は、
たとえ、全体のシルエットがおかしかったり、バランスが悪かったりしても
どこか1点ポイントがあれば
写真の雰囲気で逃げれたりすることもままあるので、
(変な部分は写さないと割り切ることもできたりする)
実は、ライターとしては一番ラクチンな撮影だったりします。
なので、かっこいい写真を作品撮りされている美容師さんたちには
「雰囲気重視の作品撮りをしたときは
証明写真みたいな正面ニコパチの写真も撮っておくと勉強になると思いますよー」と
(やや控えめに)アドバイスさせていただいています。
これ、ほんと。