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MINX岡村さんのこと さとゆみ通信001

以前、MINXの岡村さんについてこんなことを書いたことがあります。 

 

岡村さんの一番ステキな所は、 誤解を恐れずに言うと、とても「普通」なところだと思います。 普通という言い方はなんだかおかしいかな。 とにかく裏表がないし 大きなことを言わないし 自分を偉く見せようとしないし コツコツ毎日仕事にまっすぐ向き合っているだけの 「とってもまっとう」な、美容師さんだと思います。

この業界にいて、しかも超売れっ子で、 かつ「普通でいること」は 実は、すごく難しい。 岡村さんみたいなハンサムなルックスだと、より難しい。

でも、 岡村さんはよく 「努力できることが才能だ」と言うし 「努力をずっと続けることができる人が天才だ」と言います。 1ミリもちゃらちゃらしてないし、上からものを言ったりもしない。

スタッフに対しての教育方針を伺うと (たとえMINXを辞めるときがきたとしてもそれまでに) 「どこでも食べていけるちゃんとしたカットの技術と どこでも働けるちゃんとした社会人としての生き方を教えたい」とおっしゃいます。

 

7年前に聞いたときも、4年前に聞いたときも、先々週聞いたときも 同じことを言っていました。

 

7年前に聞いたときは、(原稿的に)地味な答えだなあと思ったし (恐れを知らないライターだった)

4年前に聞いたときも、(原稿にするには)地味な答えだなあと思ったけれど (どうしようもないライターだった)

先々週聞いたときは、一瞬鳥肌がたったくらい、しみじみすごいと思いました。 (ライターとして少しまともになった)

 

多分、岡村さんの言葉の重みが ずきっとするほどわかるくらいに 私もきっと、成長したんだと思う。

 

2010年に書いた文章だけど、その印象は1ミリも変わっていません。

 

美容業界には、美しいデザインを追求している人、可愛いデザインを追求している人、オシャレなデザインを追求している人、いろいろいると思うけれど、デザインやカットに対して、美しいでも可愛いでもオシャレでもカッコいいでもセクシーでもなく、「正しい」という表現を使う人を、私は岡村さんしか知らない。

 

 

正しいデザイン。そして正しいカット。 そして、人として間違ったことをしないこと。人に迷惑をかけないこと。正しい生活。

 

 

 

話はいきなりぶっとぶけれど、岡村さんのヘアデザインは色気が薄いと、私は思う(「ムード」や「芯」は感じる)。

 

_______てゆーか、こんなこと書いて大丈夫なのか、私。

 

どうして岡村さんの髪に色気を感じないのかということについて真剣に考えたことも編集さんたちとディスカッションをしたこともあるけれど、色気というのは、余剰や揺らぎから生まれるもので、おそらく岡村さんのデザインには余剰や揺らぎがないんじゃないかな、って話になったりした。精神的にも、物理的にも。

 

そんなことを考えたんですけれどあたってますか? ということを、5年前くらいに岡村さん本人に聞いたら、「うん。オレ、切り終わりが、仕事終わりだから」とおっしゃっていました。スタイリングは、自分の仕事とはまたちょっと別の話。そういうことなんだと思う。そのスタンスはフィニッシュワークで魅せるヘアが全盛になるほどに際立っているように感じました。(実際、撮影で使うスタイリング剤を気にしたことない時期が長かったって言ってらした)

 

ちなみに、3年前くらいに同じこと(岡村さんの髪には色気を感じない)を岡村さんに言ったら「うん。オレ、おねーちゃんに興味ないから」っておっしゃっていました(笑)。えっと、えっと……。そーゆー意味ではないです。

 

岡村さんは、あまりたくさんしゃべる人ではないし、過干渉をする人でもないのだけれど、人の性格を、たった一度の会話で見抜いたり、本質を射抜いたりされるので、いつもびっくりします。一見、そんなに人に興味なさそうな雰囲気なのに、いったいどこを、見てるんだろ。

 

そんな岡村さんが分析する

増田ゆみの長所は横の動きに強い(瞬発力が強い)こと

増田ゆみの短所は縦の動きに弱い(持久力が弱い)こと だそう。

 

まだ何度も話をしたことがないときに、そんなことを言われたので、本当にあのときはドキっとした。

 

そんな持久力が弱い私も、14年目になりました。何度か道に迷ったり、へこたれそうになったとき、そのつど、的確なアドバイスをくださったのが岡村さんでした。だから、ここまで続けてこられたとも言えます。

 

岡村さんとご一緒していると、普通でいること、まっとうでいることとか 真面目であることというのは 何よりも強く、カッコよく。そして、この世界を生き残るためにとても強い、唯一といってもいい武器なんだということに気づく。

 

それを文字通り背中で教えてくれる先輩がこんなに近くにいることは、何にも代え難い、人生においての僥倖だと感じます。

 

できることなら、岡村さんのような揺らぎのない「職業人」になりたいと思うのです。特に年始のこの時期はいつだって。

 

 

 

(今年、美容業界のいろんな人について勝手に書くということをしてみようと思っています。もし、内容に不都合あった場合は増田までご連絡くださいませ)

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