想いを固定するという職業
可愛いと思うデザインに出会ったとき、私はいつも「可愛い」って思うだけじゃなくて「あのデザインはどうして可愛いんだろう」って考えてしまう。
「来年もこのデザインは可愛いと思うのか?」「それとも今だから可愛いと思うのか」「あの人が作ったから可愛いと思うのか」「モデルがこの子じゃなかったら可愛くならないのか」。
そんなことをいつでもぐるぐるぐるぐる頭の中で考えている。
思考は「気体」みたいなもんだと思う。浮かんでは消えて、ふわふわしていて、つかまえどころがない。
そのとき考えたことを、人に向かって話すと、そのつかまえどころがなかった思考は、少し形が見えてくる。
例えて言うなら、考えたことを言葉に出して伝えようとすることは思考を「液体」化するようなものだと思う。目には見えるようになる。でも、形を変えて流れていくものでもある。
口にのせた言葉は常に、目の前を流れ去って行くものだから、その言葉がさらに誰かに届くときには、また違った言葉になるし違った形を持っている。グラスが変われば形が変わる、やはり、液体みたいなものだなと感じる。
流れていこうとする思考をどこかに碇でつなぎとめようとすると、私はやはり、文章を書くことになる。 文章を書くことで、思考は固定化されて「固体」になる。
昨年、一昨年は、セミナーなどでお話をさせていただく機会をたくさんいただき、それは、私の中でも日頃考えていることを液体化できる貴重な時間でした。今年は、美容に限らず、そして自分の想いだけに限らず、いろんな人の思考や想いを、顕在化して見える化して、固体化していくことをしたい。
つまり、文章をたくさん書きたい思っています。
学生時代に書いた作文に「考えることが好きなので、考えることでお金をもらえる職業につきたい」と書いたことを、今でもはっきり覚えています。
40才を目前にして、いま、もう一度、その夢にちゃんと向かい合いたいと思う。新人のつもりで、もう一度「書く」ことについて勉強をし直し、売り込みも営業もちゃんとして、書くことで生計を立てられるライターになる。