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美容師さんの写真セレクト 編集者の写真セレクト

私、写真セレクト、大好きです。撮影現場の次くらいに好き。

スクリーンショット 2013-01-05 11.35

 

でも、ここを失敗すると、どんなに現場でいい写真が撮れていても台無しになってしまうから、本当に責任重大な役割でもあったりします。

 

ところで、いきなりですが、ヘアカタや、サロンさんのブックなどを作るときに、美容師さんに写真をセレクトしてもらったもので構成をすると、全体としてのページのクオリティやおしゃれ度が落ちることがあります。これは、決して美容師さんの審美眼が良くないという意味ではありません。読者にとって魅力のある誌面は、必ずしもベストショットが並んでいる誌面ではないということなんです。

 

ページとしての魅力を出したいときは、全ての写真を同等に扱わないケースがよくあります。大きく扱う写真と小さく扱う写真でメリハリをつけたりします。「この写真を目立たせるためには、隣にくるこの写真は少しインパクトの弱いものにしたほうがいい(両方が引き立つ)」という判断をすることもあります。次のページにこの写真が並ぶから、こちらの写真は別の角度にしようという判断をすることも多々あります。

 

逆に、美容師さんが写真をセレクトすると、当然ですが、そのスタイルのベストショットを選ばれます。そのベストショットだけで構成をすると、ページがちぐはぐな印象になったり、お互いの写真が喧嘩しあって、結果、お互いの写真の良さを消しあってしまうことがあります。

 

と、言うわけで。

 

私の場合、まず、写真をざっとセレクトします。1人のモデルさんにつき1〜3枚くらいまで絞ります。このとき、1人のモデルさんに対して同じような角度や表情の写真は選びません。全て違う角度、違う表情のものを選びます。とは言え、スタイルを作ってくださった美容師さんが意図しない角度の写真などはできるだけ避けたいので、そのあたりは悩みながらのセレクトになります。全員選び終わったら、レイアウトを組みます。ページの核になる写真をまずいくつか選び、全体のバランスを見ながら、配置をしていきます。このときに、複数枚あった候補から写真を1枚に絞りきります。

 

ざっくりというと、ヘアカタログはページが多く相性の悪い写真を違うページにばらしやすいので、ベストショットを組み合わせやすいです。ファッション誌のヘアページは6ページの中にこのスタイル全部を配置しなくてはいけない、などの制限が多いので、ベストショット以外の写真を組み合わせるケースも増えます。

 

と、えらそーなことを書きましたが、私自身もまだまだ試行錯誤の最中です。なかなか難しい。以前写真家の蜷川実花さんが「写真集を作るということは、撮影したほとんどの写真を捨てる決意をするということだ」というようなことを書いていらっしゃいましたが、まさにそれを感じます。本当に難しいことです。

 

というわけで、写真セレクトの嵐のなかで(笑)、思うところをいろいろ書いてみました。

 

あ、ちなみに、ウェブでの写真セレクトは、ひたすらベストショットを選びます。ウェブでは、どのような順番で並ぶかというのが予測できないし、写真1枚だけで旅立つ(いろんな場所で拡散される)ケースが多いので、他との並びというのは、特別なケース(特集ページなどでレイアウトが崩れないなど)以外は考えません。

 

そう考えると、雑誌でできて、ウェブにできないこと、はまさに「レイアウト」と「レイアウトによって見せることができる世界観」だということになります。見てほしい順番に企画を並べるというのも、雑誌ならではですよね(実際は読者の好きなページから見られると思いますが)。写真の大小という感覚も、雑誌ならではです。ですので、最近、雑誌の仕事では、以前より一層レイアウトに注力しています。この話はまた今度。

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