夫婦別姓に関連するとても個人的な体験
夫婦同姓が最高裁で合憲と判決が出たけんについて、超個人的な感想です。
私は、人生で、苗字が何度か変わっています。
24歳まで 本名 安藤友美→ビジネスネーム 安藤友美
一回目の結婚は、24歳の時でした。
当時の夫になった人が18歳年上で、仕事でも、姓を必ず変えて欲しいと希望する人だったので、あまり深く考えず、素直にビジネスネームも夫の姓にしました。
職場結婚だったため、わたしが会社を辞めて転職しました。
フリーのライターになると決めていたのですが、編集さんに、友美って名前は読みにくいから、ペンネームはゆみか、ユミにしたら? と言われて、これまた深く考えずに、増田(夫の姓)ゆみ(本名のよみがな)というネームで仕事をスタートしました。
24歳〜31歳まで 本名 増田友美 ビジネスネーム 増田ゆみ
2006年からブログを書き始め、こつこつSEO対策しました。増田ゆみと検索したら、FカップAV女優の名前よりも上に出るようになるまでに1年くらいかかりました。いまでも、増田ゆみと検索すると、当時の私のブログが出てきます。
ライターとしてのキャリアも少しずつついてきたころ、うっかり離婚することになりました。結婚生活7年目、ライター生活も7年目でした。
円満離婚だったので、全く揉めなかったのですが、たったひとつ、見当がはずれたのが、離婚後の私の名前の扱いでした。
元夫は、離婚するのだから「増田」姓を名乗るのはもうやめて欲しいといい、ここで、結婚して初めて喧嘩をしました。
離婚届を提出する直前に、「私がどれだけ、仕事に打ち込んできたのか、あなたは知っているでしょ。苗字を変えるのは、私にとっては、7年のキャリアを捨てるのと同じことなんだよ」と、誠心誠意、伝えました。
元夫に対して、私が怒ったのも泣いたのも初めてだったので、夫は「そこまで言うなら」と、増田姓を名乗ることを許してくれました。(法律的には、離婚後、元夫の姓を名乗るのに元夫の許可や同意は入りませんが、私は個人的に、元夫の理解を得て増田姓を名乗りたいと思っていました)。
テレビより、冷蔵庫より、苗字が欲しかった。
というわけで、私は離婚後、両親の戸籍には戻らず、増田友美の一人戸籍を作りました。
31歳〜33歳まで 本名 増田友美(一人戸籍取得) ビジネスネーム 増田ゆみ
で、その後、再婚することになりました。夫は佐藤姓でしたが、そもそも増田姓時代に出会った人だったので、「今後も増田ゆみの名前で仕事を続けるといいよ」と、快く言ってくれました。ので、本名は佐藤友美、ビジネスネームは増田ゆみで、仕事を続けました。
婚姻届を出す時に、佐藤さんのお父様にご挨拶にいったところ、「どうして、親御さんは安藤なのに、ゆみちゃんは増田なの?」と聞かれ(バツイチだと特に伝えてなかった)、うわーーーー!!! っとテンパったのもいい思い出です。
33歳〜37歳まで 本名 佐藤友美 →ビジネスネーム 増田ゆみ
このころから、仲の良い美容師さんは、みんな私をファーストネームで呼んでくださるようになりました。「増田さん」ではなくて「ゆみさん」と呼んでくださるようになったのは、とても嬉しかったです。
この時代に、書籍を3冊出させていただきました。書籍の名前は「増田ゆみ」です。そのうち2冊は、デザイナーさんが、「増田ゆみ」の名前自体を表紙のデザインにしてくださり、とても思い出深いものとなりました。
ところが、息子が生まれて、物心がつき、「パパは佐藤さんで、ママは増田さんなの?」と言うようになりました。
「ママの前の(ダンナの)苗字だよ」と言うのも、なんだかなあと思うようになり、私自身も再婚し子どもができてからも元夫の「増田」姓で仕事をしているのに違和感を感じるようになりました。
子どものことだけではなく、大学の准教授のお話をいただいたり(論文を書くなら本名じゃなくてはいけない)、私自身も書籍の仕事に軸足をうつすことを決めたりと、いろんなタイミングも重なり、38歳の誕生日を期に、すっきりと全部を本名に統一することにしました。
「ゆみ」も、本名の「友美」にしたため、もう、すっかり別人です。最初のうちは、いろんな方に混乱をさせてしまい、ご面倒をおかけしました。
38歳〜 本名 佐藤友美 → ビジネスネーム 佐藤友美
共著の「美容師が知っておきたい50の数字」は増田ゆみ名義なのに、続編の「美容師が知っておきたい54の真実」は佐藤友美名義になったりと、ご迷惑をおかけすることも。
保育園の保育士さんに(元サロンモデルだった)「佐藤ママって、ひょっとして増田ゆみさんですか?」とか、聞かれることもありました。
今でも「増田ゆみは知っているけれど、佐藤友美は知らなかった」という美容師さんによくお会いします。セミナー会場で「佐藤さんって、増田さんのことだったんですね」と言われることもありました。
最初のビジネスネームを決めるときに、安易に夫の姓を選んだために、いろんな面倒が生じたので、今回も、ビジネスネームは旧姓まで戻す(生まれた時の名前に戻す)ということも考えたのですが、海外での仕事もぽろぽろ出てきたので、パスポートの関係上も考え、本名に戻そうと思いました。
なにより、もう、本名とビジネスネームが違うことによる、いろいろな面倒にうんざりしてたので。願わくば、このまま一生、佐藤さんと添い遂げられますように、という希望的観測のもと、本名にしました。
先日、「美容師が知っておきたい50の数字」の6刷りがかかったとき、版元の社長さんに「名前を増田ゆみから佐藤友美に統一しましょうか?」と聞いていただき、著者名を途中変更していただくという異例の措置をしていただきました。心から感謝しています。
とまあ、仕事を続けていく時に、姓を変えなくてはいけないことは(現状では多くの場合、女性にとって)面倒ごとが増えるし、ディスアドバンテージになります。
キャリアの損失にもなるし、アイデンティティもぐらぐらする。あと、SEO対策的にもめっちゃ不利です。「佐藤友美」の名前で検索しても、まだ、一番目にはなりません。相当しばらく無理そうです。
先日、母校の女子大で300人の女子大生の前で講演させていただいた時、本論とは別のところで、結婚と姓の選び方についてお話しさせていただきました。
みんな、結婚したからといって、安易に仕事上の名前も変えないほうがいいよ、って。
そんなアドバイスがもう、不要な世の中になればいいのになと思ったのに、最高裁で夫婦同姓は合憲判断が出たので、書きました。
とても個人的な話でした。
私は、姓は、自由に選べるといいなと思う。同じにしたい人はすればいいと思う。それじゃ、ダメですかね?