ポルノ的表現に勝てる唯一の方法は小さなマーケットづくり? 須田和博さん×東浩紀さん 司会・廣田周作さんの濃密な4時間鼎談
初めてのゲンロンカフェ。
須田和博さん×東浩紀さん 司会・廣田周作さんの濃密な4時間鼎談。
凄まじい豪速球の投げ合いと打ち合いで、頭がお腹いっぱいです。
普段、私がふわふわ考えているところの3段くらいレイヤーの 深い話ばかりで、整理がついていないので、ひとまず備忘録だけ。
・双方向の時代になってからは、お客様が「関与」してくれないことには100%すべる。だから、訴求ではなく、実用、つまり「使ってもらえる広告」を考えた(須田さん)
・広告業界には「アクティベーションプランナー」という職業ができている。つまり、人を「アクションさせる」のが仕事になってきている(廣田さん)
・広告が果たせる一番嬉しいことは、日本の文化や世界の文化として、それが残ること。例えば、恵方巻きのように。バレンタインデーのように(須田さん)
・アクティベーション(使ってもらえる、身体性と直結)とは 、結局のところポルノ的下半身アプローチになってしまうのでは? ポルノという表現がよくなければ、例えば猫や料理の写真。(東さん)
・人にそっぽを向かれたくない→使ってもらえる広告がいいのでは、と思いつつ 、それが下半身アプローチにならないようにしたいと考えている(須田さん)
・ポルノの問題点は、倫理的な話ではなく、同じような類似品を買い続けること。人のクリエイティビティをどんどん限定して損なっていく可能性がある。猫の写真でゲンロンカフェの集客をしていいかどうか(東さん)
・ポルノ的表現をしなくてもいいようにするためには 、スケールを調整するしかないと考えている(東さん)
・コンテクストは、スケールを決めれば決まる。大事なのは入場制限と、小さなマーケット(コミュニティではなく)。1万人に届くスケールをしっかり考えないといけない(東さん)
・合田誠さんは、ファインアートがどう戦えば広告に負けないのかということを 考えたのではないか。(須田さん)
・10億人を相手にすると、マイノリティを無視することになりやすい 。スケールが大きい方が暴力的。市場を小さくすれば多様性を大切にする(東さん)
・コミュニティデザインは、人間関係のメンテナンスになっている?(廣田さん)
・ゲンロンカフェはコミュニティサービスになってはいけないと思っている。ここは限定された小さな市場。1万人を相手にすることで、生まれる緊張感がある(東さん)
・人間は物理的空間がないと何も蓄積できない。 「モノより、コト」といっても、人間の頭の中にしかないことの蓄積力は弱い(東さん)
・広告ってアーカイブされない。広告こそ、アーカイブされるべき(廣田さん)
・須田ラボで手に入れたのは、受注関係にない環境。(須田さん)
・日本人はなんでもできる多目的空間を作りやすいが 空間に記憶が宿るような場を作ることが大事。ゲンロンカフェの壁のサインは引越ししても持っていける(東さん)
・ゲンロンカフェで生まれようとしているビジネスモデルに出版業界の人は興味を持たない(東さん)
・センスとは、インサイトの解像度なのではないだろうか? 市場の規模が違えば、それぞれ違う解像度でみれることがセンス(廣田さん)
・現実と寄り添いたいのか? 現実を変えたいのか?(東さん)
・正しさを求めるアプローチと、一方で美しさを求めるアプローチがある(廣田さん)
・以前は「人々に寄り添っているつもり」で、結果的に世界を変えてきた人がいた。 今は、世の中がクリアになってきて、寄り添っていると思い込めない。 やはりマーケットを規定して、限定した人に寄り添うしかないのでは(東さん)
須田さんが、計5回も「今日は来て良かった」とおっしゃっていたのが印象的でした。超一流の人に対して、何か新しい示唆を与える鼎談とホストができることって、すごい。
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