モチベーションをデザインするという仕事《さとなおリレー塾・特別編》
さとなおリレー塾 特別編の電通・岸勇希さんの回。コミュニケーションデザインのいまについて、濃密でした。
塾のあと、塾生の方と呑みにいっちゃってアップが遅くなりました、さとなおリレー塾、勝手にアンバサダーのさとゆみです。皆さん、お久し振りです。
まだアップしないんですか? とメッセージくださった方が4人もいました。ありがとうございます。私も、その日のうちにアップしていないことに、ずっと何か気持ち悪さを感じておりました(笑)
誰もが楽しみにしていた、岸さんの回。
私、この塾の前の打ち合わせが、なんと、さとなおリレー塾の受講生の方で、「僕はいけないんですよー、くぅー、悔しい」っておっしゃっていたのを横目に、私は「すみません! お先に!」って言って、ミーティングを抜けていきました。
ちょっとだけ遅れて到着したのだけれど、階段のぼっている最中から聞こえてきた、会場の爆笑。 なんか、すでに会場がホットになってる。
そうそう、岸さんの講義があるって聞いた時、岸さんのことを知ってらっしゃる塾生の方たちが口々に「岸さん、ほんと、講義そのものがネ申だから」「ひとつの舞台だから」「演劇見るつもりでくるといい」とおっしゃっていたのだけれど、その言葉の意味を、このあと知ることになります。
今回も、岸さんのお話で得たこと、考えたこと、を私なりにまとめます。
1)電通は自分たちを「広告」の会社だと思っていないし、カンヌ広告祭も「広告」祭じゃなくなった
★広告はただの「手段」。必要とされているのはあらゆる方法で「課題解決する」こと
→Advertisingは、手段のひとつ。「Cannes Lions International Advertising Festival」は 「 Cannes Lions International Festival of Creativity」になった
→そもそも、クライアントは何をご所望なのか?を考える。傘が欲しいのか? 雨に濡れたくないのか?
→あらゆる方法で課題解決を目指すとなると、広告はそのソリューションの1つでしかない
★コミュニケーションデザイナーが提案するのは「広告」ではなく「広告予算の使い方」
→解決法は、「広告」に限らない
→提案すべきものが、目に触れるものであるとも限らない。
※さとゆみ感想
リレー塾に全参したから、「コミュニケーションデザイナーの仕事=課題解決」という意味が今はわかるのですが、やはり「電通は広告の会社ではありません」というのは、私のような職業の人間からしたら衝撃だし、カンヌ広告祭が広告祭じゃなくなっているのも知らなかった。
美容業界では、「プレス」という肩書きを、いち早く「コミュニケーションズ」にしたのがZACCさんなんだけれど、当時私たち全然意味がわかんなくて「コミュニケーションズって一体なに〜? 意味わかんないし〜」って思っていた私のほうこそ、意味わかってなかった。
photo by D.Ph
2)伝える技術から人を動かす技術へ
★広告はかつて「広く告げる」ためのものだった。でも、そもそも伝わらない時代、そして伝わっても人が動かない時代になっている
★人を動かす技術には、「物理的アプローチ」「心理的アプローチ」「生理的アプローチ」がある
★心理的アプローチを考えるときに重要なのは、「物語(STORY)」と「文脈(CONTEXT)」の違い
→人は「文脈」で物語を判断する
3)私たちは物語の語り手ではなく、つむぎ手にならなくてはいけない
★「from say to do」の精神
→広告を「伝える」時代から、その考えで「行動する」時代に。
→企業の物語を語る時代から、一緒に作っていく時代に。
→改革の提案をするのではなく「改革」をすることが本質に。
★企業の本音を隠さない
→「企業の本音」「社会の要請」「個人の納得」の三方よしが共成長マーケティング
→より企業の「人間性」が問われる時代
※さとゆみ感想
ちょうど前日の講演のラストで「(広告)写真は髪型ではなく、企業の思想を示すものになってきている」という話をさせていただいたばかりだったんですが、私が美容業界の広告に関して(全く体系だったものではないのだけれど直感的に)感じていたことって、そうか、こういうことだったのかというエビデンスをもらった感じがしました。
★企業哲学を、ファクトにまで落とす方法
→間に哲学の読み解きと言語化のプロセスが必要
→必ずしも、外に対しての発信、目に触れるもののデザインとは限らない
4)コミュニケーションデザイン3.0は、モチベーションのデザインである
★人の気持ちはどうやったら動くのかを考えるのが、これからのコミュニケーションデザイン
※さとゆみ感想
「モチベーションのデザイン」。この言語化にも、鳥肌です。
※全体を通した感想
★コミュニケーションデザイナーの仕事は、経営に限りなく近いという言葉が印象的でした。岸さんが伝家の宝刀とおっしゃっていたフローと、「1億円に値する言語化」という価値。5400円で聞いてしまっていいのだろうかと思ってしまうけれど、でもやっぱり、これって頭でわかっただけで実行できないと無価値なわけで、これからこのフローを何度も書きだして、使い倒していこうと思いました。
★リレー塾にいらっしゃる方は、さとなおさんがおっしゃるとおり、皆さん哲学家で、かつ、アスリートみたいだなあと思う。脳と身体がつながっている、と感じます。脳で考える→行動する→再考する→行動する。この一連から得られている知見なので、とても説得されます。
★時代が変わった時に「もうこの業界も終わりだ」と思うか「昔の慣例にしがみついている人たちが一掃されるいい機会だ」と思うかによって、見える世界が違う、ということ。
★さとなおさん、次の番外編を楽しみにしています! ありがとうございました。
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