ミラノサローネ、AGC(旭硝子)の幻想的な展示_いまや私自身も情報の一部である
今回のイタリア行きの最大の目的は、ミラノサローネに初出展された旭硝子(AGC)の展示を拝見すること。
事前にリリースされていたCGも期待感が高まるものだったのですが、これは本当に、ミラノまで見に来てよかったと思う、レセプションパーティでした。
今回の展示では、ガラスなのにもかかわらず、情報を投影できるという、特殊なガラスの機能が訴求されていたんですよね。
一見、普通のガラスにしか見えないのですが、
Photo: Takehiko Niki
こういった映像を投影することができて、情報を伝えることができたり
こんな映像を、前から、後ろから投影できたり
こういった濃い色を投影すると、向こう側があまり見えない状態になったり。
つまり、街の中にあふれているガラスのショーウィンドウを、あるときは、ショーウィンドウとして、店の中を見せることができたり、あるときは情報を投影して広告ができたり、あるときは色を使って中が見えにくくしたりするなんてことができるガラスなんだそうです。
私がこの展示で一番面白いと思ったのは、この展示に「未来の情報の伝達」が、予見されていると感じたことです。
この展示の空間構成をした建築設計事務所、アーテンバークの2人によると
マスとしての情報はすでに「環境」となっていて目をこらして見る人にしか見えなくなっている。そして、「情報の発信者」VS「情報の受け手」という関係は変容して、いまや、私自身も情報の一部になっている
ということを言われています。
つまり、「情報は見ようと思っている人にのみ、情報として届く」 ってことですよね。幾重にも重なるガラスの空間の中で、言葉で言われるよりもそれを実感できると感じました。
この空間に入ると、実際、私たちも情報を投影する媒体になる。
そして、私たち自身も情報の発信者となる。
この空間体験って、実は、私たちが日々の生活で行っていることが可視化されているように感じました。
ガラスの技術的な特性の凄さに加えて、その思想が、すごく、近未来的でした。
この展示で、私はさとなお塾で「未来の情報伝達」の象徴として取り上げらえれた『マイノリティレポート』を思い出したのですが、関係者の方にお伺いしたところ、やはり『マイノリティレポート』を想起された方は多かったようです。
つまり、今後、情報の伝達や、その情報に「私」がどう主体的に関わることになるのか。
この展示には、そのひとつのアンサーがあったように思いました。
旭硝子の皆様、お邪魔しました!
アーテンバーク、川島範久氏と、さとゆみ夫の佐藤桂火氏、お疲れさまでした!