広告は、口先のナンパから人生添い遂げる覚悟の結婚へ《さとなおリレー塾・第3回》
さとなおリレー塾、3回目です。
2回目の感想を書いたとき、美容業界の人からも出版業界の方からも広告用語無しで書いてほしいというコメントがあったので、今日は、広告素人の私がもともと知っていた言葉だけでまとめと感想を書いてみようと思います。
過去2回の感想はこちら
99.996%の広告(情報)はもう「伝わらない」時代。《さとなおリレー塾・第1回》
「どんな場所」なら待ち伏せして広告を見てもらえるのか《さとなおリレー塾・第2回》
なので、さとなおさんがセミナーでおっしゃっていたオリジナルの言葉とは違う部分もたくさんあります。私なりに解釈して書いたので、もし、齟齬があったら塾生のみなさま、教えてください。
んでね、今日は、とーーーっても面白かった。
なんで面白かったのか考えたんだけど、多分、今日のさとなおさんのお話が、広告の話のようで、これからの世界のあり方の話だったからだと思う。 世界はどんどん透明になっていって、小手先が通じなくなっていって、本質的なことが見透かされるようになっていて、だから、総じて、世界って悪くなってない。そう思える感じがあった。
だから、今日の話は、私には「希望の話」に聞こえました。
さとなおさんは、広告(コミュニケーションプランニング)のゴールは「伝えたい相手を笑顔にすること」で、その先に「できれば世界がちょっと良くなること」ができればさらにいい、ってことを、折に触れておっしゃるんだけれども。
それって世の中でイメージされる(されてないのかもしれない、私のイメージでしかないのかもしれない、世の中とか言っちゃだめ。ゴメンナサイ)広告マンさんのイメージとはギャップがあって、だから「純粋な魂の言葉だなあ。きっと、何か、広告の力を信じることができる出来事があって、このようにおっしゃってるのだろうなあ」と想像していたのだけれど、
今日 スラムダンクの1億冊記念の一連の広告の成り立ちを、改めて聞いて(もちろん、持ってる、スラムダンク『あれから10日後-』完全版)、あのとき「ファンにだけ届けたい」と思って作った場が、ファンの皆さんにとってのすごく幸せな体験になったことを目の当たりにされて、
あれが自分の原点ですとおっしゃっていて、「ああ、だから」と、すごくいろんなことがしっくりきました。
万難排してファン・ファースト(ファン最優先)であること。
このリレー塾自体が、さとなおさんのファン・ファーストだしなあ、と、思ったりしつつ
ほとんど、泣きながらスラムダンクの映像観てました。先生、バスケがしたいです。
Switch Vol.23 No.2(スイッチ2005年2月号)特集:井上雄彦「スラムダンク、あれから10日後」
あかん、前置きが長くなっちゃいました。
んでは、今日(と前回)のおさらい、する!!
1)(前回のおさらい)日本人には2つの人種がいる
★今までどおりのマス広告がきく人たち(日本人の約半分)
→インパクト重視でなんとかなる
→情報そのものに価値がある人たちなので、知ってもらえばだいたいOK
→知ってもらえる ≒ 興味を持ってもらえる
★広告に見向きもしない人たち
→興味のあること(広告)だけしか興味をもたない。唯一の例外は、友達のおすすめだけ
→「共感」されないものは流通しない
2)(前回のおさらい)広告に見向きもしない人たちに直接届けるならファン(その商品、サービスに興味がある人)にピンポイントに届ける
★その商品(サービス)をもともと欲しいと思っている人たち(ファン)はどんな人たちか。どこに集まるかを考え抜いて狙い撃ち
→ファンはどのクラスタにいるか意識する(ロック好きクラスタ、ママさんクラスタ、旅好きクラスタなどなど……)
→届けたいクラスタが決まったら、その人たちの行動パターンを考え抜く。
→例えばトラック運転手向けの雑誌は、トラックから見える乗用車の屋根に広告を出すなど
→「すでにファンの人(興味のある人)に広告するなんて(お金の無駄)」、と思わないこと。このご時世、もともとファンの人(興味ある人)以外への広告は絶望的に届かない
3)広告に見向きもしない人たちに、もともと商品(サービス)のファンである友人経由で広告を伝える(RTやシェアをされやすい広告にする)
★これは2)の変化系と考える
→基本は2)の「既にファンの人たち」に伝えて、その人たちがRTやシェアすることでその友人たちにリーチするという方法。
→「友人、知人に教えたくなる内容かどうか」を意識すると拡散しやすい
→もうひとつのコツは、どのクラスタに響く内容かを意識して発信すること(旅好きクラスタ、アニメ好きクラスタ、AKBクラスタなど……)
4)広告に見向きもしない人たちに、もともと商品(サービス)のファンの友人経由で広告を伝える(ただのRTやシェアだけじゃなくて友人がコメントつきで拡散する)
★実は、これが一番興味のない人を動かしやすい!!
★コメント付きでシェアしてもらえるようにするために一番大事なのはその企業が考えていることをちゃんと伝えきること
→これがこれからの広告を考える上でのキモ
→何を考えているかはっきりしない企業については何かコメントしてシェアしようと思わない
→例えばナイキやアップル、グーグルなどは企業が目指している方向性が見えやすいので、コメントしやすい。もっと自分たちの思想を伝えよう
→大事なのは「ファン・ファースト」の考え方。ファンのためなら、他社の製品でも推薦するくらいの気持ちで
→いまどき、口説き文句がうまいだけのナンパ(広告)は通用しない、企業人生を賭けた、本気の本気が透けて見える時代。添い遂げる覚悟があるかない無いかはすぐばれるバレる
※さとゆみ感想:ライバル店を褒めたり、自分の関係していない雑誌を褒めたりしている人に顧客の信頼が集まっているの、実感してます。
5)4)以外にコメント付きで拡散してもらうために重要なこと
★ファンは存分にえこひいきする →新規より常に既存を大事にする
→例 グレイトフル・デッドのファンサービス(グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ)
、スラムダンク1億冊突破記念でのファンにしかわからない広告、コカコーラのファンへのTweet
★ファンを発掘する
→「友人にこの商品を強くすすめますか」の質問に10段階評価で9or10の人たちに働きかけて呼びかけをする
★ファンとのあらゆる接点を見直す
→顧客とコンタクトするタイミング全てをチェックする(MOTサイクル)
→露出だけじゃなくて社員も接点のひとつ
★商品を見直す、ファンと一緒に商品を作る
→日本は新商品をバンバンつくりすぎ。ファンのための改良商品も考えるべき
→例 丸井のシューズラボ 5万3000人にアンケート、3万人が購入
★ファンと共に成長する
→例えばAKBと古参ヲタの関係性
→アメリカCBSで放送されシーズン5まで続いた「ゴースト」は、大学のオカルトファンから火をつけた
※さとゆみ感想:とくに美容院は年間平均4〜5回しか行かない場所なんだから、既存顧客のもてなしは最上級で良いはず。
6)ファンに長くファンでいてもらうために
★商品の最大かつずっと浮気しないファンは「社員」(でないと、これからは厳しい)
→社員が会社を好きで、その商品やサービスに誇りを持っていることが、友人に一番伝わる
→これからは、社員の満足、社員の誇り無しに、「共感」は生まれない →商品を作っている側の「社員」も、受け取る側の「生活者(お客さま)」も、ソーシャルの中で全部透けているから、社員に共感されていないものは、生活者(お客さま)にも共感されない
★ファンと会社のビジョンを分かち合う →売り手よし、買い手よし、社会よしを目指したい
→これからの商品やサービスは(コミュニケーションプランニングも)、企業が利益を得つつも、社会の課題を解決していかないといけない。
→CSV(creative shared values 一緒に価値を作っていく)が重要に
→例 コカコーラのインドとパキスタンをつなぐCM
※さとゆみ感想:なんと、さとゆみの、「ダンナとスタッフはロイヤルカスタマー」説、あたってた⁉︎
「社員が会社のファンじゃない会社は、もう生き残れない時代」。これ、美容業界においても、実感値としてよくわかります。いろいろ隠せない時代。時代は、ざっくりと言って、良い方向に向かっているのだと、思う。希望のある話だなあと思って聞いていた。
7)アイデアの発想法
★マス広告のアイデアは「インパクト」勝負なので、どれだけ自分からかけ離れたアイデアを出せるかが勝負
→テーマ×しりとりで突拍子もないことを思いつく
→テーマ×なりすまし(私が安倍総理だったら、私がマツコ・デラックスだったら……)
★ファンに伝える広告の場合は「共感」されなきゃダメなので「普通」の感覚が大事
→だから、ユニークである必要は全く無い。自分が「普通」に思うことを掘り下げて発信する
→でも、実際のところ人は一人一人全然違うから、人と同じところがあったら、嬉しくなって「あるある!!」と言いたくなる
→でも、「自分」が考えていることを語らないと「あるある!」は生まれない。だから自分自身の体験を語っていこう
→例 カメラについて共感はしないけれど、ファインダーをのぞくことで感じた想いは共感する可能性がある
※さとゆみ感想 「個人的な恋の歌がなぜ人に共感されるのか」という問いかけがわかりやすいかった。むしろ、現在くらい強烈に口コミ文化だった平安時代の貴族まやりに「枕草子」がウケたのとかも、アレだよね。あるあるあるある!!! ってやつ。
全体を通した感想
★ 私は広告を知らないので、さとなおさんがおっしゃっていることが、広告業界の人にとってどれだけ意外なことなのか、はわからないのだけれど、「まっとうなことが評価されるんだよ(というか、まっとうじゃないと伝える手段もなくなってきたよ)」「小手先じゃないんだよ」という時代にいることは、すごく希望があるなって思う。
★社会課題の解決って、若い人ほど、普通に口にする。
★今回のセミナーを聞いて、試してみたいことがいっぱいあって、なので、それが終わるまでは不慮の事故などで死にたくない。
★さとなおさんは、講義の中で、この言葉は失礼であると思うということをよくおっしゃるのだけれど(囲い込み、バズる、場を「与える」etc)、そこかしこに生活者に対する敬意というか、モノや数字としてみていない感じが伝わって、すてきだと感じます。この繊細な言語感覚は見習いたい。
★寝室のレイアウトは変えました
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