お仕事のご依頼
検索
お仕事のご依頼

ノートラック野嶋朗さんの2015年美容業界予測

2015年の美容業界大予測、私の予測貝塚さんの予測柏村さんの予測谷さんの予測石渡さんの予測に続いて、ラストは、昨年までビューティ総研のセンター長だった野嶋朗さん。今後は組織活性をサポートする(株)ノートラックを立ち上げられ、またハリウッド大学院大学の教授としても活動される予定だそうです。

業界大予測.001_1

 

★ジャパンビューティのグローバル化元年

他のサービス業は少しずつインバウンド(外国人の国内需要)をとれていますが、美容業界でもこの流れを加速させたいところ。サロンへの流入はもちろんのこと、ABAの取組みなどに代表される、美容技術の学習コンテンツは海外でも高く評価されると思います。

 

野嶋:訪日外国人はこの3年だけでも、1.5〜1.8倍になっているんですよね。僕はスキーをするのですが、北海道のニセコなどは年間40万人の外国人が宿泊しています。街の中は外国人の方が多いと感じます。飲食店のメニューも英語だし、多くの方が英語を話します。

 

さとゆみ:日本での美容サロン体験を希望する外国人が多いでしょうから、言語のハードルがなくなるといいですね。

 

野嶋:外国人集客のポイントは海外の口コミサイトでの発信になるかと思います。

 

さとゆみ:サロンへの呼び込みだけではなく、海外向けの技術教育の発信は、注目ですね。

 

野嶋:中国では1000万人の美容師がいると言われていますが、指導者が足りていません。ハリウッド大学院大学も学生の多くは海外から来ているんですよね。美容の教育コンテンツは、今後はJETROなどと連携して、オールジャパンで取組みたいテーマです。40代以降の美容師さんたちのセカンドキャリアとしても、海外への教育事業はキーになりそうです。

 

 

★美容学校の変化と美容師資格を持つ人の多様化

 

2014年に職業実践専門課程が導入されて、産学連携を進める動きがスタートしました。カリキュラムの実践度があがったので、学校教育の場にサロンの人が参加することが増えるでしょう。一方で、アイビューティの分野では美容師免許を持っていないと従事できません。この美容師法厳格化の流れは、首から上の施術全般にも拡大するのではないでしょうか。教育訓練給付金も利用しやすくなりコストの負担も減ります。美容分野に従事する方の学び直しが多くなり「カットはしないけれど美容師免許を持っている」という人が今後増えると思われます。

 

 

さとゆみ:まず美容学校のお話から。インターン制度を復活すればいいのにという議論がよく出ますが、それとは逆の話ですよね。

 

野嶋:そうですね。サロンの現場に学生を送るというよりは、学校教育にサロンの方を教師として呼ぶという流れが強くなると思います。現場感覚とは異なるかもしれませんが、美容師の資格は高度の専門性が期待されています。今後は様々な分野に美容師資格が求められるので、2年間+さらに2年など、現在の大学生と同水準の学習課程になる流れも進みそうです。また、逆に美容を志望するが美容師資格を必要としない分野で働きたい人は1年制の美容分野を志望するケースも増えていくでしょう。

 

さとゆみ:……。現場の感覚とは遠い感じしますね。

 

野嶋:進学コストの負担は大きな課題になるでしょうね。美容分野向けの奨学金制度を整備する必要があります。関連企業からの奨学金寄付などの要望を業界として出していく必要もあると思います。一方で通信制を活用する学生も増えるでしょう。人の足りないサロンと進学資金のない高校生、双方にメリットがあるので、施術はできませんが高卒後に働きながら学ぶ人が増えると思います。

 

さとゆみ:高卒後に働くとなると、教師や保護者の理解も必要ですね。

 

野嶋:そもそも美容業界の素晴らしさを保護者や教員がに知ってもらうべきですよね。そのためにもヘアサロンで働く方々はもっと高等学校や中学校に行かなくてはいけないと思います。中学生や高校生にとって美容師人気は十分高いのですが、教師や保護者に業界の魅力を伝えきれていないことで、就職にいたらないケースが多いです。もっと中学・高校を訪問する流れができるといいですね。

 

★マネジメントの専門化と異業種オーナーの増加

 

サロンの大型化、多店舗化が進むなかで、経営と現場の専門性がそれぞれより深くなっていきます。異業種からの経営参入や、ファンドによる経営支援も進むと思います。FCの増加、ブランドサロンの地域への参入、ボランタリーチェーン化への動きなどが加速する1年になりそう。チェーン経営が増えると、流通構造の変化にもつながります。サロンが力を持つ状態になると思います。

 

 

野嶋:異業種において、美容業への注目が高まっているんですよね。投資をして経営に乗り出す異業種の経営者も増えそうです。ますます組織マネジメントと、人材教育ができるサロンが強くなるでしょう。

 

さとゆみ:異業種の風が入ってくると、新しい取組みも生まれそうですね。

 

野嶋:同時に、業界を代表する発信者や、影響力のあるリーダーが登場していく必要を感じます。経済団体との連携ができたり、政治や行政との連携ができる業界リーダーが求められています。旅行業界における、星野リゾートの星野さんのような立ち位置の人が業界を引っ張っていくようになるのではないでしょうか。

 

さとゆみ:サロンの拡大化が進むと、経営基盤の整備と、ブランディングが同時に重要になりますね。

 

野嶋:社会保険に代表される雇用条件の整備や、店名や商品名の商標登録は必須になっていくでしょう。また、今後は「他店舗ショップ内の小スペース店」「ホリスティックビューティ」「トータルビューティ」などに取り組んでいる地方のサロンが、都心エリアとはまた違った生産性の仕組みを作っていくと感じます。

 

さとゆみ:都心と言えば、昨年は青原系の都心ブランドが、地域に横展開しましたよね。

 

野嶋:AFLOAT、GARDENなどの地域での出店が話題になりました。他にもブランドサロンの展開のバリエーションやブランドサロンの地域展開も、業界の新しい流れを作りそうです。

 

★サロンワークの注目は美容専門知識とセレモニービジネス化

 

サロンワークで気になっていることはいくつかあるのですが、ひとつはオーガニック志向とは別のニュアンスでのケミカル離れ。カラーやパーマ、アレルギーに対する意識が高まっていると感じます。もうひとつ、冠婚葬祭やハーフバースデー、ハーフ成人式などのセレモニーに結びついたサロン消費にも注目しています。

 

野嶋:今後はよりヘアケアだけでなく美容全般の専門知識が求められると感じますね。化粧品成分全般の知識もそうですし、頭髪だけでなく皮膚や健康科学、福祉などの情報もお客さまに求められている。ドラッグショップややネットでの販売も増えましたが、お客さまにとってそれらの販売場所では相談できる相手がいません。美容知識の窓口は美容師しかいなくなっているのです。これはものすごく大きなチャンスの流れです。

 

さとゆみ:専門的な役割を求められる、ということですか?

 

野嶋:ヘアケアと頭皮、そして美容知識の専門性ですね。その延長線上で、ホリスティックビューティや福祉理美容などへの広がりもできると思います。また、イベントと結びついたセレモニー消費も大きなマーケットなので、今後はカルテ管理などで、このニーズにこたえていけると美容の消費はもっと増えそうです。

 

 

★サロン≠カットする場所に

 

今までヘアサロンというと、髪を切る場所というイメージが強かったと思いますが、今後はより広い意味で「容姿を整える場所」という「美容業の原点」に帰るように思います。先ずは目周りのケアから。アイビューティからメイクへ。メイクがサロンで一般化すると、商品購買にもつながりますし、デビュー前や復職者の新しい職域開発にもなります。

 

野嶋:「美を提供する=美容師の仕事」という認識が深まると考えています。

 

さとゆみ:それは、トータルビューティ化ということですか?

 

野嶋:今、美容業界で「トータルビューティ」と言っていることは、今ある美容サロン中心のメニューを組み合わせパッケージ化しているだけかもしれません。本来、ビューティ領域全般をケアできるのは独占資格である美容師だけの特権なので、それをもっと意識していいと思います。

 

さとゆみ:店販についてはどう思いますか?

 

野嶋:お客さまの課題からの課題解決、プチソリューションという考え方が大事だと思っています。技術からの商品という流れだけではなく、課題からの技術と商品という考え方が必要ではないでしょうか。お手軽な美容家電やセルフケア商品が増えている中、プロのアドバイスで課題解決をできる売り場(=サロン)を持っている強みをもっと生かしていけるとチャンスがあると思います。

 

さとゆみ:強い商品や物語のある商品が生み出されれば、サロン以外の場でも売上になっていきますよね。

 

野嶋:最近の商業施設の売り場構成を見ても、美容商品はどこの売り場でも消費のキラーコンテンツです。でも、現状、ヘア業界はそれら売り場のパートナーとしてまだまだ入り込めていません。今後は、美容商品や美容技術と商業施設とのコラボレーションが進むと思いますので、そこで美容業界の存在感をアピールできるといいですね。

 

 

野嶋さん、ありがとうございました!

【関連記事】

2015年美容業界大予測

コスモ貝塚弘幸さんの2015年美容業界大予測

リクルートライフスタイル柏村美生さんの2015年美容業界大予測

ケイアートファクトリー谷さんの2015年美容業界大予測

パイプドビッツ石渡武臣さんの2015年美容業界大予測

 

 

一生離れないお客さまをつくる方法―customer satisfaction
野嶋朗 女性モード社
女性モード社
売り上げランキング: 108,950
タグ