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コスモ 貝塚弘幸さんの2015年美容業界大予測

今年は、私の予測だけではなく、業界のいろんな方にインタビューをさせていただきました。

今日ご紹介させていただくのは、コスモの貝塚弘幸さんの業界予測。

 

クレイツ、モロッカンオイルなどヒット商品を生み出しながら、常に業界のトレンドをリードしてきた貝塚さん。そのマーケティング力は業界随一で、私もいつも勉強させていただいています。そんな貝塚さんの2015年業界予測です。

 

業界大予測 004

 

★2015年はホリスティックビューティ元年

仕事がらアメリカに行くことが多いのですが、向こうでは外だけの美しさではなくて内側からキレイになろうという考え方がこの数年で完全に浸透しています。このホリスティックビューティの考え方を美容師が学んで、お客さまに指導できるレベルまでなっていくことが、美容業の価値をあげることにつながると考えています。

 

 

貝塚:ホリスティックビューティは、もともとヘッドスパの出口として考えていたんです。ヘッドスパって単に癒しとか毛穴の汚れ除去ということじゃなくて、リンパの流れや血流を促進して未病の改善につながっていくものなんです。美と健康に対して意識が高いヘッドスパのヘビーユーザーは、最終的にホリスティックビューティに行き着くだろうな、と。

 

さとゆみ:ホリスティックビューティという単語はちらほら聞くようになりましたが、まだ日本では浸透してないですよね。

 

貝塚:今年は日本でも浸透すると思っています。うち、ホリスティックビューティの講師も雇って、書籍も作ったんだよね。この書籍をセット面に置くと、お客さま、ものすごく熱心に読まれるんですよ。

 

さとゆみ:ホリスティックビューティの勉強をするサロンって増えてきていますよね。

 

貝塚:間違った知識でファスティングをすすめたりしている人もいるので、ちゃんとした知識を持つことが重要ですね。

 

 

★「本質的な価値」をあげてデフレを脱却する
来店周期が長くなり、単価も下がり、消費税もあがっているという状況で、2015年はサロンもこのデフレ構造に打ち手を考えなくてはいけないのですが、単純に価格をあげればいいというものではない。価格をあげるためには「量」か「質」かのどちらかを上げなくてはいけないという意識が重要。

 

 

貝塚:大事なのは、お客さまは「何に」お金を払っているかという本質的な価値に目をつけるところだと思うんだよね。

 

さとゆみ:それは、カット料金に払っているのではなく、自分自身のイメージづくりにお金を払っているというようなことですか?

 

貝塚:そうそう。お客さまって、「カットによって印象を変えることができる」ということに価値を見出しているんです。美容師さんって、バングを一生懸命切るでしょ。あれだけ神経使ってバングを切っているってことは、それが「印象」につながるって美容師さんもわかっているからだよね。だから5,000円のカット料金をあげるにしても、ちゃんと理にかなった上げ方をすれば、デフレ構造を防げると思ってるんです。

 

さとゆみ:具体的には?

 

貝塚:過去の例でいうと、アフロートさんって、シャンプー+カット+ブローじゃなくてシャンプー+カット+アレンジ(アイロンで巻いてあげる)を必ずするサロンですという打ち出しをしてきましたよね。他にもシャンプー+カット+ブローじゃなくてクイックにできるスパシャンプー+カット+ブローをするんですよというサロンもあった。こういう「質」のアップをすると、単価はあげられるんです。

 

さとゆみ:なるほど。今後はどんなケースが考えられますか?

 

貝塚:たとえば今までシャンプー+カット+ブローで5,000円とっていたのだとしたら、それに眉提案までして6,000円にするとか。これなら納得感ある。

 

さとゆみ:それいい。眉って、ヘアサロンと相性いいですよね。特にヘアカラーと眉カラー(眉マスカラの店販)は、相性いいと思う。カラー変えたら、眉も変えたくなりますもん。眉ペンシルと眉マスカラのカラーバリエがたくさんあったら、絶対ヘアサロンで買いたいと思う。

 

貝塚:それ、今年、やります。

 

さとゆみ:さっすが、貝塚さん、早い。

 

★「ビューティーバー」が日本にやってくる
これもやはりN.YやL.A.に浸透してきたサロンの形態なのですが、「ビューティーバー」というのが流行っています。例えばポイントメイク、ネイル1本だけ、眉毛だけというようなプチメニューのサロン。これが日本にも導入されていくと考えています。

 

 

貝塚:お客さまがセット面に座って、眉毛だけとか、ネイル1本だけというように気軽に立ち寄れる雰囲気のビューティバーがめちゃめちゃ流行ってるんだよね。

 

さとゆみ:表参道の駅地下にもありますよね。

 

貝塚:ああいうスペースを、サロンとして出店するんじゃなくて、サロンの中のスペースとして作るというのを、今年日本でも提案したい。

 

さとゆみ:N.YやL.A.では既に浸透しているとか。

 

貝塚:例えば、スミタ・バトラというヘアメイクアーティストがいて、マドンナやビヨンセが顧客だったりするんだけど、彼女のアイブローバーが今L.A.でものすごく流行っていて、年商14億円くらいあるんです。

 

さとゆみ:それは眉を描いてあげるの?

 

貝塚:骨格に合わせて眉をデザインして描いてあげるんだけど、眉のシェイピングをスレッディング(糸脱毛)でするのが人気みたいだね。このアイブローバー、何が魅力って、有効カルテ枚数が5万5000枚なんですよ。でも、年間来店客数が100万人なんです。これ、すごいよね。

 

さとゆみ:来店周期がものすごく短いってことですよね。

 

貝塚:そうそう。20日に1回来てるってことだよね。

 

さとゆみ:ああ、それはすごい。

 

貝塚:これが日本のサロンの店頭でもできないかなって考えています。カットカラーで来るお客様が、それとは別に20日に1回、サロンを訪れるような構造改革ができるんじゃないかと思っているんですよね。

 

 

★「頭皮保湿」がネクストキーワードに
お肌はクレンジングだけで終わってないし、髪の毛もシャンプーの後にトリートメントする。なのに頭皮は何もしてないの? というところから考えると、頭皮保湿に行き当たります。「肌の血行だけではなく頭皮の血行促進」という考えからヘッドスパが浸透したように、「肌の保湿だけではなく頭皮も保湿」という考えが今後、浸透するはず。

  

貝塚:今まで肌の保湿は嫌というほど言われてきたのに、頭皮に関しては保湿っていう概念がほとんどなかったんだよね。なので、商品開発しました。10分でできる頭皮保湿。

 

さとゆみ:次から次へと面白すぎる(笑)

 

貝塚:保湿力をあげると、頭皮ってキレイな色に変わるんだよ。目で見てはっきりわかるレベル。

 

さとゆみ:これは薬剤が違うんですか?

 

貝塚:シャンプーして泡立てた状態で機材を使うんですよね。ちょっと特殊な水は使うんだけど。

 

さとゆみ:どんな水?

 

貝塚:アルカリ還元水。これを吹きかける。これももともとはホリスティックビューティの考え方からきてるんだよね。人って生まれてから死ぬまでの間に20%の水分がなくなっていくって聞いたことある?

 

さとゆみ:あるある。

 

貝塚:例えば、若さを表現するオノマトペっていうと、何を思い浮かべる?

 

さとゆみ:ぽよよーんとか。ぷるぷるとか。

 

貝塚:そうそう。これって全部水分量の話なんだよね。若さ=水分が必要なわけです。

 

さとゆみ:たしかに、ヘッドスパってクレンジングと血行促進までで終わっていますもんね。

 

貝塚:頭皮が枯れるから細毛になるし、うねる。頭皮が枯れるから顔がたるむんだよねという話です。

 

さとゆみ:女性誌が目の色変えて食いつく話題です(笑)。

 

貝塚:俺も知らなかったんだけど、ヘアカラーすると瞬時に頭皮の水分量が10%くらいなくなるんだってね。でも白髪染めって根元からしなくちゃいけないでしょ。だから、グレイカラーと頭皮保湿をセットにしていくのがいいと考えています。

 

 

★集客サイト依存から抜ける「女子会」イベント

 

新規集客は大きな課題だと思っています。現状は集客サイトに依存しているサロンが多いと思いますが、広告費の負担も大きくなり、他の方法での集客も考えていかなくてはならない時代です。ひとつ、解決策になりそうなのが、ベタだけど「女子会」イベント。リアルな場で交流を作ってあげることは、まだ有効性がありそう。

 

 

貝塚:前にあるサロンさんが新規出店のときに、美容外科の先生を呼んだりメイクの講師を呼んだりして美容講習をしたんですよ。既存のお客さまにDMを出して、お友達誘ってきてくださいってペアチケットにして。そうしたら150人の定員だったのに250人集客したんです。

 

さとゆみ:なるほど。お友達連れてくるということは、2倍になってくるってことですよね。

 

貝塚:店販も動いたし、お友達も顧客になってくれる。大人女性をターゲットにするなら、こういう美の学びの場を作るというのはひとつの方法かも。集客サイトで新規顧客を1人呼ぶのに5,000円かかっているんだったら、こういうイベントに使ってお客さまに還元しながら紹介新規を呼ぶという方に広告費を使ったほうがいいと思うな。

 

さとゆみ:紹介のお客さまのほうがリピート率も高いでしょうしね。

 

 

★独自路線を持っている個人店は残る

 

オリジナリティのある個人店は、今後も残っていくと思います。ただ、気になっているのはSNSのチェックしすぎによる情報の画一化。Facebookなどで他のサロンの動向を気にしていると、どんどん考えることが似通ってくる。それによって尖った部分がなくなった個人店は厳しくなると感じます。

 

さとゆみ:みなさん、ものすごく情報チェックしてますもんね。

 

貝塚:他のお店がこんなことを始めましたというと、うちもやらなきゃいけないっていうふうになって、独自性がどんどん無くなっていく。これはすごく心配しています。

 

さとゆみ:本当に面白いことやっている人は、Facebookに書いたりしてないですからね。

 

貝塚:そうそう。

 

さとゆみ:貝塚さんも、Facebook見てたら遊んでいるばっかりだし(笑)。

 

貝塚:仕事のことは書けないからね。

 

さとゆみ:独自路線って、みなさん怖いって言うんですよね。尖るとお客さまが減りそうだっておっしゃるんです。

 

貝塚:でも一番怖いのは「いつもと同じお任せ客」だからね。このタイプが一番失客する。やはり、色を持っていくことが大事だと思うし、個人店こそ独自の路線が重要だと思いますよ。

 

 

貝塚さん、ありがとうございました!
 

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