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ライター佐藤友美の2015年美容業界大予測

2013年2014年に続き、今年もいってみます。ライター佐藤友美の、2015年美容業界勝手に大予測です。

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1)リクルート戦国時代突入

今年、集客以上にシビアな取り組みになると考えられるのが「リクルート」。新卒、中途を問わず、リクルートができるサロンとできないサロンが二極化しています。このことによって起きるであろう変化は3つ。まず1つめ。新卒においては今後ますます高卒採用が増えそう。また、奨学金返済を会社がサポートするサロンも増えそうです。2つめ。「休眠美容師」と言われる以前美容師さんだった方のカムバック制度に力を入れるサロンが増えそう。そして3つめ。中途のリクルートに特化したIT 系ビジネスが増えそう。

 

2)人材エージェント業が生まれる

1)に関連して、今年、美容業界にも人材エージェント業が生まれるのではないかと予感します。より良い条件を求めて「サロンを移籍する」という考え方も、ここ数年で一般化しそう。移籍の際に、本人にかわって条件面を交渉するのがエージェント。アパレル業界のデザイナーやプレス職などではすでに一般化しています。力のあるデザイナーが、力のあるサロンにより良い条件で移籍すると(もしくは経営が厳しいサロンから移籍する→むしろこちらの方が多いかも)いう考え方は、実は表参道近辺のブランドサロンやネームバリューのある美容師さんに関しては、すでに始まっていて、ここにエージェントが介入しはじめれば、この流れは一気に進むように思います。

 

3)セミナーのテーマは集客から人材教育へ

昨年、地域NO.1店の方々のセミナーのオファーが表参道の方々以上に増えそうと書きましたが、リクルート戦国時代になると、よりテーマは「デザイン」「集客」から、「人材教育」「経営」「リクルート」「モチベーションアップ」にうつりやすくなるのではと感じます。

 

4)デザインマッチングからコミュニケーションマッチングに

お客様と美容師さんのマッチング法は、今まではデザイン(例えばショートが得意、フェミニン系が得意など)マッチングが有効とされてきましたが、今後はデザイン以上に、コミュニケーション(たくさんしゃべりたい、放置してほしいなど)マッチングが有効になりそう。とくに30代以上のお客様には、コミュニケーションマッチングの方がリピートに成果があがるのではないかと感じます。

 

5)フォト集客からテキスト集客へ

これは2年ほど前から徐々にそうなっていて、すでに予測でもなんでもないのですが、4)と同じ観点で「ヘアスタイル写真」にアクセスが集まっていた時代から、「ヘアスタイル写真を入り口にした上で」それ以外の差別化で選ばれていく時代になっていると感じています。ヘアデザインに特化した美容サイト(≠集客サイト)がなかなかアクセスを集められない理由も「お客様は、写真集を見るようには、ネットでヘアデザイン写真を見ようと思っていないから」に尽きると思います。(行きたいサロンを絞り込むための参考にはしていると感じます)詳細は、2014年に何度も書いてきたので割愛します。個人的には、Googleが今後写真の価値をどうアルゴリズム化してランキングづけするかに興味を持っています。

 

6)サロンの「サロン」化

ヘアサロンを、その名のとおり「サロン(社交をする場・情報交換をする場)」として利用するという考えに基づいたサービスやビジネスが増えそう。美容業界の顧客との接触密度の濃さと接触時間の長さは、ほかの業界の比ではないので、その時間を積極的に利用していくことが活発になると考えられます。今までもアンケート代行などがありましたが、最近はもう少し積極的な異業種からのコラボレーションが企画されはじめているので、今年はその成功事例が生まれ始めるように思います。ヨガやホリスティックビューティ、食育系などは業界も近いので、コラボしやすい分野かもしれません。

 

7)サロンで「暇つぶし」をさせない時代に

というわけで、サロンでの時間は1分でも無駄にできなくなる時代がくると思います(これは2015年よりはもうすこし先の話になると思う)。サロンに来たお客様に「雑誌でも読んで時間つぶしを」してもらっている場合ではなくなり、店販につながるようなサロンオリジナルの冊子や、異業種とのコラボにつながる情報提供が行われるようになると感じます。ゆくゆく(10年後くらい)ヘアサロンは行政から委託を受けて地域の人たちの健康を見守りする場になっていくと、私は予想しています。

 

8)美容のネットメディアは今後も増える

2014年は美容師さん主導のウェブメディアが注目されましたが、今後はネット媒体の人たちが運営するサイトに美容師さんの協力をお願いする流れが増えると思います。美容師さん主導のものはヘアデザインに特化したものが多いのですが、ヘアカタログではユーザーのアクセスは呼びにくいので、恐らくヘアケア系、アレンジ系のコンテンツを強くしたサイトが増えるのではと思います。美容師さん向けのコンテンツを提供する媒体は、お客様の手前、公の場で語れることには限界があるので、クローズド化(会員化)、オフライン化(クローズセミナー化)していくのではないかと思いますがどうでしょう。

 

9)「one to one」ビジネスが核に

「大勢にとっていいもの」「トレンドのもの」ではなく、もっと個人にアジャストした美容アドバイスがビジネスになると思います。1対多ではなく、1対1のサービス。美容師さんの空き時間を、Skypeでアレンジ指導やヘアケアアドバイスに使うなどのサービスが立ち上がってもいいのではと思います。美容師さんの「時間」を売るサービスも、今年あたりから始まりそう。

 

10)来店周期がさらにのびる

昨年末各所で話題になったのが、2014年12月に発表されたビューティ総研の美容センサスで、女性のサロン利用回数が「年3回以下」の割合が半数以上になったというデータ。2014年下期に来店周期が急激に長くなった理由は明確ではありませんが、ひとつは消費税の影響、ひとつは黒髪ブーム、ひとつは直前予約化にあるのではないかと私は思います。サロンが次回予約を促す場合にとる予約日と、顧客側が直前予約する予約日では、後者のほうが来店周期が長くなると考えられるからです。今後、直前予約化が進むほど、来店周期も長くなるのではないかと予想します。

 

11)リアルタイム集客

と、同時に、現存する集客サイトとはまた違った方向から、満を持して「リアルタイム集客」サービスがスタートするのではないかと考えられます。ネット予約がスタンダード化したいまだからこそ、「いま、何席あいているのか」、「いま、誰があいているのか」というリアルタイム検索に対応できる素地が美容業界に生まれました。「空き時間をビジネスにする」「リアルタイムのニーズを可視化する」という部分は、美容業界に関わらず、2015年のネットのトレンドになると感じます。

 

12)既存顧客向けのサービスが必須に

現在、集客系サービスはいずれも新規向けの施策が強いですが、今後、既存顧客の囲い込みや、来店頻度アップに寄与できる施策が(サロンサイドから)求められてくると感じます。すでに取り組みが始まっているサイトやアプリもありますが、この「既存顧客向け」に決定打を打てるサイトやアプリが出てくれば、勢力図に変化が生まれるかも。「カルテつきカラー」や「展開図のお渡しつきカット」や「処方箋つきヘアケア」などのサービスも増えそう

 

13)ブランドサロンのカラーサロン、メンズサロン出店

昨年も書いたカラーサロンが増えるという話。昨年は、低価格のカラーサロンが増えるのでは、と書きましたが、今年はオシャレサロンやブランドサロンのカラーオンリーサロンが増えそう。最近、大人女性はサロンにカットしにいっているのではなく、カラーしに来店しているといいます。クオリティの高いカラーを提供してくれるサロンには需要があると感じます。同様にブランドサロンのメンズサロン、メンズスペースも増えそう。と、書いていたら、apishさんからカラーサロンを出すという年賀状が届きました。私も今年、この分野でちょっとアレします。

 

14)広告費の削減

あと削るだけは広告費だけ。という声を2014年末、たくさん聞きました。技術売上が軒並み落ち込んだ2014年。今まで固定費(「家賃みたいなもんだと諦めています」 )とみなして手をつけていなかった広告費に、今年はメスが入りそう。

 

15)リクルートも集客もキーワードはママ&キッズ

昨年はママdayやキッズday、キッズスペースなどを取り入れたサロンが増えましたが、今年はその取り組みがもっとレギュラーになりそう。ママになった美容師さんが復帰しやすいサロンづくりができたサロンは、顧客にも支持され、休眠美容師さんの中途採用もうまくいくケースが多いと感じます。また、今年はその分野をサポートしようというメーカーさんやディーラーさんが一気に増えるようです。女性美容師さん特集も、単なるブームではなく、レギュラーな取り組みとして定着すると思います。

 

16)ダイバーシティ(多様性)への取り組み

車いすの方や、視聴覚に障がいのある方、がんで脱毛のある方などに対応できるサロンが今後増えるでしょう。オリンピックを控え、ダイバーシティに対応できる店づくりが全国的に指導される中で、美容業界も変わっていきそうです。

 

17)雑誌のグラデーション化と女性像マーケティングの終焉

ファッション誌では、わかりやすいモテ(赤文字) や、わかりやすいストリート(青文字)というよりも、その中間を行き来する赤紫や青紫の濃淡がついた雑誌や企画が増えそう。雑誌を読んでいる女性自体も大幅に減っているので、以前のような「このジャンルの女性像はこう!」という決め付けはより危険に。

 

18)ヘアカタログはさらに減る

ヘアカタログはもっと減ると思います。ファッション誌のヘアページは、横ばいかちょっと減るくらいかなあ。全雑誌をまたいで指名されるサロンというのはどんどん減り、ジャンルによって特化していく形になると思います。もともとヘアカタログは多すぎたと思うので、減ってちょうどいいのではないかと思います。単に体数を多く見せるものというよりは、切り口のはっきりした企画ものが増えて、小さいパイをしっかりとるビジネスモデルになるのではないかと思います。ただし、メンズ、とくに30代以上のヘアページは増える可能性が多いにあります。

 

 

というわけで、今年はこんな感じです。既にビジネスが動いていることに関しては(私は関わっていないものがほとんどですが)書けないことも結構あったので(年々増える・涙)、今年は私の業界予測だけではなく、いろんな美容業界の方たちにインタビューして、2015年の業界予測をしていただくコーナーを作りました。

 

 

明後日以降、コスモの貝塚さん、ケイアートの谷さん、リクルートライフスタイルの柏村さん、パイプドビッツの石渡さん、元ビューティ総研の野嶋さんにお話を聞いて、2015年の業界予測をしていただきます。

 

お楽しみに!

 

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