カッコいい誌面を作ることはそんなに難しくない
先日、ある女性誌の編集長さんとお話をする機会があったのですが、
そこで話題になったのは「カッコいい誌面を作ることは、実は、そんなに難しくない」という話でした。
オシャレなもの、モードなもの、雰囲気のあるもの。そういうものは、そういうことが得意なスタッフさんが必ずいて、いいスタッフさえ集めれば、ちゃんと形になる。
実際、外国人のモデルを起用して、ハイブランドのお洋服だけを使って、本当に洗練されたコーディネートや、とがったメッセージをチョイスして、感度の高い読者に向けて発信されていた彼女の以前の雑誌は、本当にカッコ良かったし素敵だったしとても高い評価を得ていたけれど、いわく「誌面づくりとしてはそれほど、難しくはなかった」ということでした。
オシャレなことに手加減をしないというのは、結構難しくないものなんです。それをできるスタッフさんは、日本にある程度の人数いるんです。
それよりも、「ある程度マスな人数(読者)に対して、影響力のある媒体でありつつ、かつ、一定のオシャレ感をキープする」ことのほうが、何倍も難しい、と。
彼女が現在手がけている雑誌は、かなりの部数を期待されていて、しかも手が届く範囲のオシャレ感も期待されている。これが、一番難しいライン。スタッフさんに求められる力量も、とても高くなるとのこと。
この話に、私は、とてもとても共感しました。
めっちゃオシャレなヘアカタログは、つくろうと思えばたぶん、つくれる。
オシャレな美容師さんたちに、手加減無しでオシャレに提案してもらえばイイと思う。
オシャレなデザイナーさんに、手加減無しでオシャレにデザインしてもらえばできる。
誌面をスタイリッシュにしていないのは、
「できないからやってない」のではなく、「できるけど、やってない」。
これが多くの編集者の本音です。
本当にごく一部のオシャレな読者に届けばいい。そういう立ち位置を期待されている雑誌もある。その場合はOKだけれど、ほとんどの雑誌は、ある程度売れなくてはいけない。つまり、北海道から沖縄まで、多くの人が共感できるものじゃないといけない。という場合は、やはり、振り切れる表現に限界があるし、そこを超えないようにすることが編集の仕事だったりします。
もちろん
とことんオシャレでモードな雑誌もあります。そこにはコアな需要があります。でも、そこを狙っていい雑誌(写真)と狙ってはいけない雑誌(写真)がある。それは、媒体に課せられたミッション(や部数)による。
オシャレに手加減しない雑誌でリーチできる読者数は、私達が出版社から普段期待されている人数の10分の1、どんなに多くても5分の1になってしまうだろうと思う。
そんなことを話しました。楽しかった。
そういえば、「with」と「MORE」のヘアスタイルをつくれる美容師さんが、一番難しいところにトライしているよね。だから、「with」と「MORE」ができる美容師さんは本当にすごいよね、という話につながる面がありますね。
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