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死のシミュレーション

今日はMINXの鈴木三枝子さんの命日です。
そのご縁で
鈴木さんと交遊のあったホスピスの院長先生の講演をきく機会に恵まれました。

 

そこで体験した「死のシミュレーション」
とても得難い経験になりました。
最初に、自分にとって、大事なものを書き出します。
物質的に大事なもの
自然の中で好きな要素
自分の生活で大事なもの
自分にとって大切な人

 

それぞれを複数個書き出した後、
私たちは重い病にかかります。

 

病状に気づいたとき
病院を予約したとき
検査をしたとき
病名を宣告されたとき
手術したとき
仕事を休職したとき
体が動かなくなってきたとき

 

病気が進行するのと同時に、
書き出した大切なものカードのなかから
1つ、2つと、何かを選んで捨てることを指示されます。

 

身を切られるような思いで
私は、私が愛するものたちをひとつずつ手放していきます。

 

辛いだけではありません。
とても孤独です。
この気持ちは誰にもわかってもらえないと思い始めます。

 

最後に息を引き取るとき
たった1枚、これだけは、と祈って残したカードも、
やはり手放さなくてはいけなくなり
そして死がおとずれる。

 

それは、
あくまで想像の世界の出来事だったけれど
圧倒的に強烈な経験で、
最後のカードを捨てたとき
私はたしかに
死にゆく私の心の最後の言葉を聞いたように思った。

その後

 

一度死んだ私たちは、
先生の言葉で、ゆっくり、ゆっくり覚醒し
先生の言葉で、おそるおそる目をあけた。
そこに、まだ生きていて、しかも健康である自分の存在を確かめたとき
陳腐ないいかただけれども
この世界は、なんて輝いているんだろうと思った。
私はその世界でまだ生きることができる。
私の大切なものたちも、まだ私のまわりに存在している。
それは、なんて幸せで、なんて贅沢なことなんだろうと思った。

 

この経験を
私はこれから何度も思い出すだろうと思う。

 

そしてそのたび
この輝いた世界を、もっといっぱい全力で走り回れるはずだと思うだろう。
そしてそのたび
それがどれだけ幸せなことなのかをかみしめるだろう。

 

そして

最後の最後まで残ったカード。
自分にとって大切な人たちとの時間を大切に積み重ねていこうと思うことだろう。

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