2018.01.17 Wed

ドラマな日常。『空飛ぶ馬』(北村薫)_039

ある読書会で課題図書になっていたので、読みました。初北村薫さん。

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三浦しをんさんの『格闘するものに◯』とパラレル読みしていたので、ときどきふわっと世界観が混じる感覚でした。

わからないけれど、どちらも早稲田の一文が舞台なのかな。

 

読書会で言及された話のなかでおもしろかったのは、この書籍が書かれた時期と、この書籍の中に出てくるいろんな固有名詞や情報の時期の話。

 

『空飛ぶ馬』は1989年の作品で、

・庄司薫さんの『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1969年)

・宮本輝さんの『錦繍』(1982年)

・文中に出てくる巣鴨置き去り事件(1988年)

など、比較的、近い過去の話題を扱っているんだなあと知れたのも面白かったです。

 

 

続きを読むかどうか、悩ましいシリーズであります・・・。

 

個人的にとても気になるのが、主人公の前髪。

この時代にショートバングだよ! 相当オサレさんだよ。

 

 

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★こちらもおすすめ
 
世の中そんなに変わらない。『格闘するものに◯』(三浦しをん)
みなまで言うな。『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』(尾形真理子)
愛は映るのだ。『映画を撮りながら考えたこと』(是枝裕和)

 
★さとゆみの本もよろしくです
 

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2018.01.16 Tue

電撃デビュー。『なれる!SE 2週間でわかる?SE入門』 (夏海公司)_038

今年に入って、電撃文庫の三木一馬さんの編集論についての本を読みました。

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電撃的。『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部 とある編集の仕事目録』(三木一馬)

 
その時は、電撃文庫の書籍を一冊も読んだことがなかったので、この機会にと思って読んだのがこの本です。
なんといいますか、とても勉強になりました。いまのラノベって、こんな感じなんですね。(といっても、三木さん的にも、この本は比較的特殊な設定〜異世界にとばない日常設定〜といわれておりましたが)

連載を前提とするラノベとはいえ、売れないと2巻目が出せないのだと思うのですが、主要人物のキャラを1巻目ではまったく明かしていないことも、潔いですよね。

 


先日ある読書会で、小説が担う役割について話が及んだことがありました。

その本には、私たちが知らない文学や落語についての教養がたくさん散りばめられていて、このようなことを知ることができるのも書籍のひとつの役割だよね、という話になりました。

 

近年、書籍を作る側の人間はとかく、わかりやすいこと、平易であること、すらすら読めることを、求められる傾向があるように感じます。

 

そんな時代に「今まで知らなかった世界に出会わせてくれる」という役割は、むしろラノベや同人誌に引き継がれているのではないかと話した人がいました。

 

この本を読んでいても、確かにそのような側面があるように感じたなあ。

 

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★こちらもおすすめ

電撃的。『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部 とある編集の仕事目録』(三木一馬)

明日の朝までにドングリ600個『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(真船佳奈)

★さとゆみの著書もよろしくお願いします

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2018.01.15 Mon

問いを持つ人間が残る。『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』(藤野貴教)_037

人工知能についてはたくさんの書籍が出ていますが、入門書として、とてもとっつきやすく、わかりやすいのがこの本ではないでしょうか。

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著者の藤野さんは、人工知能の専門家ではなく、人材教育や人の働き方を考える専門家です。
だからこそ難解な文章ではなく、わかりやすく噛み砕いた解説になっています。

 

本書の面白いところは

・私たちが人工知能に置き換わられない仕事をするためにはどうすればいいか
・それぞれの職種で今後どのようなスキルを身につけていけばいいのか
・これから自分たちの働き方はどう変わっていくのか

などが、リアルな現場に即して解説されていることです。

 

そして
・人口知能は今どこまで進化しているのか
ということを、数々の動画を紹介しながら教えてくれ(正直、本で紹介されている動画を見て、ここまできてるのかーとびっくりしました)

 

最終的には
・人間らしさとは一体何か

 

まで言及されています。

 

 

インターネットに触れずに生きていくことがほとんど難しい時代になったように、
人工知能に接触せずに生きていくことは、近々、避けられなくなるでしょう。

 

いまさら人には聞けない、何が起こっているのか大まかにでも把握しておきたい。その人にとってぴったりの本だと思います。

 

 

 

 

個人的には、リバネス代表の丸さんとの対談部分が面白かったです。

人工知能が発達したのち、人間がすべき最大の仕事は「ぼーっとすることである」という話。これからはぼーっとして、そのときに思いついた「問い」を持つ人間が、社会を引っ張っていく。

研究者集団リバネスの丸さんが、そうおっしゃるところに、深みを感じます。

 

 

そういえば、先日、物理学の世界的な研究者である友人が学会で帰国していたので、ご飯を一緒しました。

彼はアメリカの大学のポスドクを10人近く連れて来日したらしく、「いまどき学会なんて、テレビ電話でできないの? 移動コスト、無駄じゃない?」と聞いたら、その彼が「顔を合わせて話すって、ものすごい情報量なんだよ」「実際に会って話をしたことがある、というのが、とても大事なんだよ」と、力説していたのを聞いて、

この話は「人間らしさ」の話と、同じなのか、違うのか、なんだかそんなことをふわふわ考えているこのごろです。

 

 

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★こちらもおすすめ

お金でも成功でもない。『夢の叶え方を知っていますか?』(森博嗣)
この呪いからの卒業。『働くミレニアル女子が身につけたい力 エンパワーメント』(大崎麻子)
学びの格差が収入格差。『一流の学び方』(清水久三子)

 

 

★佐藤友美の著書もよろしくどうぞ

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2018.01.14 Sun

世の中そんなに変わらない。『格闘するものに◯』(三浦しをん)_036

ある小説家の方の本を読んで、面白いなぁと思うことがたくさんあるけれど、この人の他の作品も読んでみようと思うまでになるかというと、そこには深い川が流れていて、なかなか2冊めに手がのびることは多くなかったりします。

 

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三浦しをんさんは、昨年「風が強く吹いている」が初めてで、他の本も読んでみたいと思った作家さんでした。

 

というのも、この方の小説の素材の集め方が気になったからです。

「舟を編む」を先に購入していたのですが、ある人に「格闘する者たちに⚪︎」がいいよと言われて先にこちらを読んでみることにしました。こちらが24歳の時に書かれたデビュー作だそうです。

 

この本は、三浦さん自身の就職活動の経験をもとに書かれているらしく、私は三浦さんと同い年なので、ひょっとしたらどこかの出版社の試験会場でご一緒していたのかもしれないなあと、思いながら、そうだった、そうだった、こんな感じだったって気分になりました。

 

 

人の価値観が大きく動くときは

家族が死んだとき

子供が生まれたとき

転職(就職)を考えるとき

だと聞いたことがあります。

 

 

この3つめの題材における心のゆるやかな微動を、日常のなかでしとしとと書くことができるのって、一番難しいことだなあと感じます。

 

ご自身は、こういうものを書きたかったわけではないと後にコメントされているので、ひょっとしたらご本人にとっては不本意なデビュー作なのかもしれませんが、通底する、品の良さみたいなものは、どんなに若い時代に書かれたものでも変わらないのだなあと感じます。
つぎ、舟を編む、いきます。

 

 

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★こちらもおすすめ
速いのと強いのは違う。『風が強く吹いている』(三浦しをん)
みなまで言うな。『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』(尾形真理子)
破壊と創造は同じなのかもしれない。『ふたご』(藤崎彩織)
読み終わってから始まる物語。『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)

 

 

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2018.01.13 Sat

「事実」からの補助線。『1998年の宇多田ヒカル』(宇野維正)_035

久々に毛穴がぶわっと開いた本でした。

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宇多田ヒカル
椎名林檎
aiko
浜崎あゆみ
という偉大な才能を世に出した1998年奇跡のデビュー組を、時代の流れの中で再定義し、それぞれの相関関係を明らかにしている意欲的な評論です。

 

私は音楽をほとんど聴かないので、この本の中に出てくる曲やアーティストの大半はわからなかったのですが(椎名林檎さんにいたっては、一曲も知らなかったですすみません)、なので、

ここに書かれている内容が音楽を聴く人たちにとってどれくらい、興味深くて、どれくらい斬新なものなのかは判断できないのですが

 

ただ、「ライター」と「ジャーナリスト」の両方である立場の著者が、「ジャーナリスト」として、この4人を描こうとしたことに(日本での著者さんのこの先の仕事のことを考えたら)どれだけの勇気が必要だったかは想像できるし

それでもなお、この題材を書ききりたいと思った、そのあがらえない魅力に身を投じた本書に、とてもとても強く敬意を表明させてください。

物書きの世界には、こういう、避けたいけれど避けられない、ずぼハマりする悪魔の実みたいな発見ってあるのだろうと感じます。

 

膨大な資料(や音源)をもとに、仮説を構築して、大胆な補助線を引く感じも、とても気持ちよかったです。

 

私がこの本で、いちばん好きな部分は

 

20年のインタビュアー経験から言わせてもらえば、音楽家の才能と、インタビューの発言における率直さ/正直さはほとんどの場合、綺麗に比例します。それでもなお、彼女たちには自分からは語らないことや、インタビューの席で誰からも面と向かって訊かれなかったことがあります。その「語られなかったこと」と「訊かれなかったこと」に興味深い真実が隠れているのです。

 

というところ。

 

だから私たちは真実であろうと思う方向に向かって、事実からの補助線を引く。

 

 

 

 

書きたい、こうしてる場合じゃない、書かなきゃっていう気持ちをかきたてられる、そんな本でした。勧めてくださったK氏。ありがとうございます。

 

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★こちらもおすすめ
寿命は自己責任か 『健康格差 あなたの寿命は社会が決める』(NHKスペシャル取材班)
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