2014.01.16 Thu

ノーギャラでも赤字にならない仕事

昨日の「その仕事のギャラはいくらなのか」の続きです。

 

ライターの原稿料について書きましたが、今日は、ライターとしてはギャラをもらわなかった仕事の話についてです。

 

昨日、下の仕事のうち、一番左と、真ん中と、一番右は、ギャラをもらわずに仕事をしたというか、どっちかというと、ギャラは不要なのでこの企画を通してくれませんかという話をしたと書きました。(正確には、一番右のヘアカタだけ、4ページ分のタイアップギャランティはもらいました)

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どうして、そういう仕事が成立するかといいいますと(趣味でやったわけではないので、やはり、仕事です)

 

それぞれ、事情が違います。

 

まず、一番左のヘアカタログは、日本初の全国47都道府県登場ヘアカタログで、これは悲願のひとつでもありました。

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このヘアカタは、私は原稿料も編集料も一切もらっていなく、むしろ、ライターさん2人にお手伝いをお願いしたので、私が個人的にギャランティをお支払いしています。

 

このヘアカタログが、ノーギャラで成立している理由は、このヘアカタの1年前に手がけた別のヘアカタログにまで話はさかのぼります。

 

その当時、フォトシュートの実践セミナーが多かった私。全国各地で実際にサロンさんとフォトシュートを繰り返している最中に、せっかくこれだけのクオリティの写真が撮れたのだから、どこかに発表の場がないかなあと考えました。

 

で、そのときに思い立ったのが、できるだけたくさんの体数のヘアスタイルが欲しいと思っている出版社さんにギャラはいらないので、ある程度クオリティの高い写真で、記事ページをつくらせてほしい。という交渉でした。

 

出版社さん側は、(特に大阪や福岡など)交通費や撮影費、原稿料などをかけてつくらなくてはいけないページを、ほぼノーコストでつくれる

サロンさんにとっては、セミナーに参加して撮影するだけではなく、それが全国的なヘアカタログに掲載される

メーカーさん(ディーラーさん)にとっては、セミナーの集客がぐんとしやすくなる。お客様のサロンさんにヘアカタに載ってもらえる機会をお渡しできる

読者にとっては、東京だけではなく、大阪や福岡のサロンさんのスタイルも見ることができる

そして、私にとっては、セミナーの回数が増える

 

という、5方、全てwinwinの話でした。

 

結果的に5ページを(ライターとしては)ノーギャラでページをつくりましたが、そのぶん、セミナーの回数が数回増えたので、私としても十分、見合っていますし、とても良い経験ができました。

そしてこのページが、すごく読者に評判が良かったため、第二弾が企画されました。というか、同じ方式で、5ページだった企画を、1冊丸ごと全国でやってほしいという依頼を編集部から受けました。

 

それが、一番左のヘアカタログです。 もともと全国5回予定のセミナーでしたが、そういうことなら、うちでやりましょうと言ってくださったメーカー様がいらして、結局8回の講習会と、8回の撮影セミナーに変更になりました。

1年2ヶ月かけて準備したヘアカタでしたが、とても楽しかったですし、全国のサロンの皆さんにお会いできて、とても想い出深い仕事になりました。

 

 

真ん中の50の数字は、私だけではなく、ビューティ総研の野嶋さんも、ハムちゃんも、全員が印税を放棄しています。

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野嶋さんというか、ビューティ総研という部署は、美容業界のために役に立つことを調べ、発信する場所という場所で、営利を目的としていません。

 

以前から、ビューティ総研さんが集めていらっしゃるいろんな数字や、それに対しての野嶋さんの解釈は、たくさんの美容師さんのお役にたつはずと思っていたので、純粋に、それを皆さんに知ってもらう企画ができないかと考えていました。

 

そこで、女性モードの寺口さんにご相談させていただき、書籍を出させていただけないかと企画を持ち込みました。

 

オーナーさんだけではなく、専門学生さんや、アシスタントさんにも読んでもらいたい、役に立ててもらいたいと思ったのが目的だったので、できるだけ安く販売してもらいたい、できれば1000円くらいで販売できないだろうか。私たちも印税をもらう気はないという話を最初にさせていただきました。

 

その話を意気に感じてくださった寺口さんが、赤字覚悟で出してくださった書籍が「50の数字」です。印刷の方法や仕事の進め方、紙の選び方から、なにから、削れるコストをギリギリまで削ってくださり、1000円という値段が実現しました。

寺口さんは、その苦労は読者である美容師さんには全く関係ないことだし、編集者たるもの、できあがった書籍の内容で美容師さんに喜んでもらえればいいし、喜んでもらえれば苦労はそれだけで報われる。制作者側の苦労話は、話す必要もないとおっしゃっていましたが、私たちは寺口さんのご判断に、本当に感謝しています。

 

結果的に、発売当日に重版がかかり、その後も版を重ねることができたので、少しだけかもしれませんが、赤字覚悟で出版に踏み切ってくださった寺口さんをはじめとするスタッフの皆様に恩返しができたのかもしれないとほっとしています。

 

この本を、ノーギャラでもやりたいと思ったのは、この本に関わって、野嶋さんの話を聞けること自体が、ものすごく貴重なセミナーをひとりじめ(実際にはハムちゃんと2人で2人じめ)して聞けるようなもので、はっきり言って、お金払っても受けたいセミナーをタダで聞けているというような貴重な経験だと思ったからです。

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また、このような数字に詳しくなることは、私のライターのキャリアにも、確実にプラスになると考えました。さらに、この本の話をしてほしいというセミナーのオファーが何度もありましたので、これもまた結果的にですが、原稿料に匹敵するくらいのお仕事もいただきました。

 

 

 

最後のヘアカタは、もともとが、ウェブサイトからの発信です。

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「ユニークピース」という40代以上の女性に向けたヘアカタログサイトでして、1年前の2月25日にオープンしました。

これは、どこもスポンサーに入っていないサイトで、完全に個人的な関心でやっているサイトです。美容師さんのご協力なくしてはできていないサイトです。

 

個人サイトなので、モデルさん、カメラマンさん、ライターさん、アシスタントさん、コンサルタントさん、翻訳さんなどのギャランテイ運営費は全て自腹でお支払いをしています。だいたい1人アップするのに1万円くらいコストがかかっています。

 

でも、このサイトを通じて、40代のヘアスタイル撮影に関しては、多分日本で一番詳しくなれたという自負がありますし、40代女性の生の声をたくさんアンケートできたこと、たくさんのナレッジが溜まったことなどを考えると、とても良い投資をさせていただいたと思っています。

このサイトでの取材を通じて、いろんなメーカーさんの開発担当者さんのお話をインタビューできたことも、とても大きな経験になりました。

また、個人サイトだったからこそ、Facebookで撮影希望サロン募集というような思い切った動きもできたりしました。

 

で、あまりに良い写真がたくさん撮れたので、ヘアカタにしませんか? 既に素材も原稿もあるので、一切お金はいらないです。私としては、ユニークピースの名前を一般の人に知ってもらえる機会が増えれば、それだけでとても大きな価値なので、と、私のほうから、企画を持ち込みました。

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ノーギャラで交渉をしていたのですが、サイトのライターさんへのリライト費や、巻頭分のカメラマンさんのフィーなどは、編集部さんが負担しますよと言ってくださったので、お言葉に甘えました。

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日本初の美容師さん直筆アンケートつきヘアカタになりました。

 

こちらに関しては、もし、これが広告として買い切るのであれば、ノーギャラどころか、何百万円の広告費がかかることをできたわけですし、編集部さんにも喜んでいただき、サロンさんにもヘアカタ化を喜んでもらえ、私としてもサイトの知名度がぐんとあがったので、三方いいことづくめでした。

というわけで、私の仕事のなかでも、特殊なケース。原稿料をもらわない仕事がどのように成立しているのかについて今日は書かせていただきました。

 

いろんな考え方があると思いますが、フリーでお引き受けすることによって、プロジェクトが動いたり、みんながハッピーであったり、結果的にスケールの大きな仕事につながったりするのであれば、十分、対価はいただけていると感じます。

 

ライターのギャランティについて、番外編でした。

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この本も面白いよ。


カテゴリ:Writing