2018.01.13 Sat

「事実」からの補助線。『1998年の宇多田ヒカル』(宇野維正)_035

久々に毛穴がぶわっと開いた本でした。

 

 

宇多田ヒカル
椎名林檎
aiko
浜崎あゆみ
という偉大な才能を世に出した1998年奇跡のデビュー組を、時代の流れの中で再定義し、それぞれの相関関係を明らかにしている意欲的な評論です。

 

私は音楽をほとんど聴かないので、この本の中に出てくる曲やアーティストの大半はわからなかったのですが(椎名林檎さんにいたっては、一曲も知らなかったですすみません)、なので、

ここに書かれている内容が音楽を聴く人たちにとってどれくらい、興味深くて、どれくらい斬新なものなのかは判断できないのですが

 

ただ、「ライター」と「ジャーナリスト」の両方である立場の著者が、「ジャーナリスト」として、この4人を描こうとしたことに(日本での著者さんのこの先の仕事のことを考えたら)どれだけの勇気が必要だったかは想像できるし

それでもなお、この題材を書ききりたいと思った、そのあがらえない魅力に身を投じた本書に、とてもとても強く敬意を表明させてください。

物書きの世界には、こういう、避けたいけれど避けられない、ずぼハマりする悪魔の実みたいな発見ってあるのだろうと感じます。

 

膨大な資料(や音源)をもとに、仮説を構築して、大胆な補助線を引く感じも、とても気持ちよかったです。

 

私がこの本で、いちばん好きな部分は

 

20年のインタビュアー経験から言わせてもらえば、音楽家の才能と、インタビューの発言における率直さ/正直さはほとんどの場合、綺麗に比例します。それでもなお、彼女たちには自分からは語らないことや、インタビューの席で誰からも面と向かって訊かれなかったことがあります。その「語られなかったこと」と「訊かれなかったこと」に興味深い真実が隠れているのです。

 

というところ。

 

だから私たちは真実であろうと思う方向に向かって、事実からの補助線を引く。

 

 

 

 

書きたい、こうしてる場合じゃない、書かなきゃっていう気持ちをかきたてられる、そんな本でした。勧めてくださったK氏。ありがとうございます。

 

1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)
宇野維正
新潮社
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