2018.01.03 Wed

読み終わってから始まる物語。『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)_025

昨日、漫画版の『君たちはどう生きるか』を読み終わり(最後の鍵は君なのだ 『漫画 君たちはどう生きるか』(吉野源三郎/芳賀翔一))、どうしても原作が読みたくなって、そのまま購入、一気に読みました。

 

まず原作、想像していたのよりも2倍くらい、分量多かった。ということは、漫画版で、どれだけ取捨選択されたかというとことなんだけれど、

取捨選択というよりは、漫画版は、新しい物語として別の命を吹き込まれたんだなあという感想。

 

私が漫画版で一番感情移入した登場人物が原作には出てこず、原作で一番面白いと思ったキャラが漫画版には出てこずでして、それぞれ別の物語を紡がれたことの象徴でもあるなあと感じました。

 

 

原作は、想像していたものよりも、2倍くらい、読みやすかった。戦前に書かれた文章とは思えないくらい(私が読んだのは岩波文庫版で、初版当時の文章に戻されているらしい)、読んでいて鮮やかに映像が浮かぶ文章でした。
私は漫画を読むのがすごく時間がかかるタイプなので、むしろ、原作のほうがスムーズに読めたという感じです。

 

 

漫画版のほうが、より「おじさんの成長物語」としての要素が際立っている気がして、とくに、漫画版にしか登場しない亡くなったお父さんとの約束のエピソードは、おそらく山本有三さんから執筆を託された吉野源三郎さんの劇中劇としての意味合いもあるのかなとか、少年少女向けに書かれた原作を大人向けに編集しなおしているからかなとか、想像しながら読んでいたのだけれど

 

ここまで書いたときに、これ(なぜ、いま古典が求められるのか? 売れ続ける2冊の大ベストセラーの共通点)を読んだら、やはり
「おじさん」を現代の読者に共感しやすいように再設定したという編集さんのお話と古典を現代に復活させる道筋が紹介されていて、

そうした編集を経て、この原作までたどり着かせてもらったことに、感謝のようなものを感じました。(漫画を読んでいなければ、原作は読まなかったと思うので)

 

で、「原作と漫画、どっちを読むべき?」と言われたら、難しい。わりと別の物語でそれぞれ楽しめると思います。文章を読むことに抵抗がない人であれば、原作は一読おすすめです。

 

 

先ほどの鼎談の中の岸見先生の言葉をお借りするなら、読み終わってから始まる物語だし、古賀さんが言われる言葉では読後のホイッスルが鳴る、そんな原作でした。

 

 

ところで、本文とは関係ないところで、今回すごく面白かったのは、解説のp335-p336部分。

 

初版から改訂版になった際に大幅に削られた箇所がどこだったかを記してくれている場所なのですが、この「削られた部分」が、どこも読んでいるときに強く印象に残っていたところばかりで、いうなればちょっと浮いていた部分だったのですが、

 

そこを削った吉野さんと、戻すべきだと主張して初版版を復刻させた丸山さんと、その思考をトレースしながら、もう一度該当箇所を読んでいると、とても勉強になりました(ライターとして)

 

書籍原稿の最終チェックをしているとき、「どこを残すか」ももちろんそうなんですが、それ以上に「どこを落とすか」に、個性って出るなあと最近思います。私がもし、書き手だったとしたらと思いながら読み直していたのですが、私だったら、削除した項目のうち、1つをのぞいて、全部ママイキするんじゃないかなあと思いながら読んでました。

そんな頭の体操にもなります。(贅沢な教材)

 

 

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